『ピラニア3D』集中講座?「最悪? 否!これこそ正しい3D映画!」

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どもども、殿井です。
昨日帰宅したら『東京オアシス』なる知らなかった邦画の試写案内が届いてたんですよ。

tokyo

「ミニシアター系(…つうか、この言葉も最早死語?)かしら?
 この手のって、当たり外れが激しいからな…」
などと勝手なことを思いつつ、表面のヴィジュアルを見たら、
エェっ!左から2番目原田知世ちゃんじゃん!!新作あったんだ!!
やばぃ、全然知らなかったぜ!!!

当然試写状に書いてある以上の情報は何もわからないが、
とりあえずなんでもいいから早く観てぇ〜。

試写が回るのは9月に入ってからで、公開は10月22日か。
こりゃ、9月は知世ちゃん特集しかないじゃん!
ホラー?ピラニア?もうそんなの知らないんだからね!!!

…と昨晩は、先日編集長と打ち合わせしたことも忘れ、
夜も眠れず勝手な妄想にふけってましたが、
勿論、それは別腹ってことで(笑)

『ピラニア3D』集中講座第2回行かせてもらいます。
今回は、本編のお楽しみ紹介編です。

pirania

アメリカ南西部の鄙びた湖、ビクトリア湖。
ご機嫌な様子で歌なんぞ口ずさみながら、一人の老人が小船で釣りに出ている。

その時付近を地震が襲い、湖底の亀裂から発生した渦に小船は呑みこまれてしまう。

湖中に投げ出された老人は、必死に泳いで難を逃れようとするのだが、
そこに渦とともに現れた異様な姿の魚の群れが襲い掛かり、
老人は瞬く間に噛み千切られていく…

pirania

これが今回の『ピラニア3D』の素敵なオープニングですが、
素敵というのはよくできた異貌のCGピラニア軍団の襲撃が素敵(なのは勿論だが)なだけではないんですよ!


最初の犠牲者となる老人ですが、人懐っこそうな穏やかな眼差しが覗く
丸メガネに洗いざらしのジージャン姿というどこかで見たことのあるその風体。

より記憶力のいい方は、彼が口ずさんでた曲にも聞き覚えがあるはず(元ネタのメインはクイントだったけど)
そして演じているのは、リチャード・ドレイファス

jaws

そう、オリジナル『ピラニア』に対する最初の泥鰌…じゃなくて鮫か…『JAWS/ジョーズ』の主要キャラの中で劇中唯一存命(クイントは1作目で喰われ、ブロディ署長もシリーズ末期に死んだことになっている)していた、海洋学者マット・フーパー(但し役名クレジットではラスト・ネームこそフーパーからボイドに変更されてますが)その人が、海じゃなくて湖でピラニアに喰われるというまさに人を喰ったこの洒落っ気。

それをドレイファス本人が演じていることからも、
今回のリメイクがオリジナルのみならず
その元ネタをもリスペクトした作りなんだというのが覗えるというものです。

しかもこのオープニングは、
死んだマットの片腕が湖中からヌ〜ッと突き出される場面で終わるんですが、
こちらはオリジナル版『ピラニア』のクライマックスにあった場面の再現であり、かつ単に繰り返してるわけではなく真逆のシチュエーションとして持ってくるあたりが、なんともよく判ってるじゃありませんか。

そして今回の殺人魚は、人為的に軍事用に改造されたものではなく、
湖のさらに地下で隔絶されていた地下湖で、
共食いを続けながらより凶暴化していった
古代ピラニア“パイゴセントラス”という新設定。

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それに応じてお話のほうも、ピラニアの群れが人を襲うという根幹以外は、
オリジナルから一新されたものになってます。

隔絶された空間に生き残っていた古代生物というのは、
“ロスト・ワールド”ものなどではお馴染みの設定ですが、
実は前回のエントリーでダンテ版の引用元作品として紹介した『大怪獣出現』のメギラも、地震により生じた亀裂から湖に出てきたという点では全く同じ。

実際には今回のリメイク版の作者がそれを意識していたというよりは、
ジャンルとその歴史への無意識のリスペクトの賜物と考えるのが正解なのかもしれませんが、結果的にオリジナルが意識していた作品をこちらでも別の形で引用しているのはジャンル・ファンにはたまらないところですね。

ピラニアのデザインは
リアル・ピラニアと怪物の中間を狙った
ということですが、こちらはこれまでのシリーズのポスター・ヴィジュアルを踏襲している感覚も感じられますな。

pirania

CG描写も未公開生物パニックにありがちの群れを点々でごまかしちゃうようなことはなく、個々の攻撃や表情も描かれていていい感じです。

また、これは今回が3Dということでその効果を活かした改変と思われますが、今回のピラニア君は、鰭で羽ばたきこそしないものの、
水中からの飛翔攻撃をもやってのけるなど
『殺人魚 フライング・キラー』にまで目配せしているようですな。
それなのに、キャメロンは…(苦笑)。

今回リメイク版でメガフォンをとったのは、
フランス出身のアレクサンドル・アジャ

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デビュー作の『フリア』こそ、スペキュレイティヴで渋〜い近未来SFでしたが、二作目の『ハイテンション』では特殊メイクのジャンネット・デ・ロッシの匠の技を120%活かした超絶スプラッター絵巻で、すれっからしのマニアをも唸らせた御仁です。

『ハイテンション』の成功でハリウッドに招かれてからは、
リメイク企画の演出が続いてますが、ここでも視覚的に派手な見世物としてのジャンル映画作りにますます磨きをかけてますね。

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『サランドラ』リメイクの『ヒルズ・ハヴ・アイズ』では、
殺戮描写のグレードアップと共にカニバル一家の“被曝”特性を
より前面に出したため、本国でのスマッシュ・ヒットにも関わらず、
日本では配給元のFOX日本支社判断でオクラ入りの危機という勲章を授かり
(結局他社委託の形をとりオクラは免れましたが)
続く『ミラーズ』でも、入浴中に欠伸をしすぎたら顎が裂けちゃいましたな
エイミー・スマート嬢のようなオリジナル韓国版(ぢつは意外と退屈)になかった、斬新な死様を見せてくれたことも
記憶に新しいです。

そんな見世物としての映画作りを判っているアジャなんで、
今回のリメイク版全体を通した見どころは、
もうひたすらにてんこ盛りされた血と怪魚とそして裸!

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惨劇はオープニングのあとしばらくは、発見されたマットの死体
調査に潜って襲われるダイバーなどを小出しにしていき、
“濡れT大会”で盛り上がる湖でパラセーリングねーちゃんが犠牲になるのを皮切りに一気呵成に大殺戮が展開。

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ここでは、ピラニアによる喰いまくりが楽しいのは勿論のこと、
パニクったバカ者が一人惨劇から逃れようと多くの観光客が逃げ惑う湖面でモーターボートを進めたことで、
スクリューが髪の毛ごと頭髪を巻き込み、
人体を切り裂き、ボートの舳がボコボコに人体を損壊させる

阿鼻叫喚ぶりも最高ですね。

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ゴア・メイクは、KNBエフェクトとして知られた名手グレゴリー・ニコテロハワード・バーガーが腕をふるってます。

ただでさえ露出度が高い湖には、
ネットで超人気のAV監督が新作の撮影に出向いており、
さらに湖畔では前述の“濡れ濡れTシャツ大会”が開催と、
ほぼ裸に近いビキニのおねーちゃんたちがこちらは全編に出ずっぱり状態。

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因みに“濡れT”大会のMCとして下品に場を盛り上げてるのは、
ホステル』シリーズの監督で、『イングロリアス・バスターズ』等には役者として出演しているイーライ・ロスです。

さらにそれらを100%活かすべく用いられてるのが3D効果。

本作は撮影後にデジタル変換された後付け3D作品ではありますが、
『アバター』以降主流となりつつある
パースペクティヴで作品世界を構築する方向には目もくれず、
ピラニアが、肉片が、血しぶきが、眼球が、裸が、そしてゲロがと観客が望むものも望まないものも、ひたすら観客に向けて飛び出してくる見世物としての画作りに徹底した潔さが素晴らしい!

pirania

水中バレエ・ストリップ・ショー(そんなのあるのか知らないが)さながらに抱き合いながら全裸で水中を泳ぎまわるAV嬢の幻想的な美しさを見よ!

また元『スタンド・バイ・ミー』のでぶっちょ君ことジェリー・オコンネル演じるAV監督は、本編中で男ならもっとも勘弁していただきたい死に方の一つを迎えるわけですが、ここでダメ押しとばかりにピラニアが吐き出す彼のイチモツがぷ〜かぷ〜かと、観客の目の前を横切るさまには唖然とすること必至かと。

しかも、DVDで観たときには、絶対日本じゃボカシがかかるだろうと思ったこの場面も、今回はR-15指定ながら劇場ノーカット公開だ。
いやぁ、日本もいい国になったものよのう(感涙)。

なんでも、本国での公開時には『殺人魚 フライング・キラー』でデビューしたことを公言したがらない今や3D作品の巨匠ジェームズ・キャメロンが、
本作の3Dを
「3D時代に背を向ける最悪の3D作品」(勝手に要約してます)
みたいなことをのたまったようですが、
そもそも見世物としてはじまった映画に、驚異や刺激を求められなくなったらお終いですよね。

確かに業界の映画料金値上げという側面からも、
パースペクティヴ表現のための3D作品増加は今後も続き、
それこそ映画の主流はパースペクティブ3Dになるのかもしれません。

そうするとキャメロンの『アバター』の位置づけは、
さしずめトーキーの『ジャズ・シンガー』みたくなるんでしょうかね。

あくまで創始者として名前だけは残るけど、
作品自体は研究家とかをのぞく新たな映画ファンには顧みられない…
みたいな?

でも『ピラニア3D』は、まぁファン層は選ぶかもしれませんが(苦笑)
このやってもうた的な3D効果は今後もマニアの間で語り継がれ、
3Dテレビがどうなるのかとかよく知らんけど、観られ続けていくことでしょう。少なくとも、僕は繰り返し観続けるぜ!

to be continued…  

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