中川監督の三十三回忌に当たる今年は9月17日(土)に日比谷図書文化会館で開催される。
当日は二部構成となり、第一部では久しく上映の機会のなかった57年の新東宝作品『将軍家光と天下の彦左』を16ミリフィルムで上映する。
倒幕をもくろむ逆臣の謀略から青年将軍家光を護るは天下のご意見番・大久保彦左衛門!
古川緑波が当たり役・彦左に扮するのをはじめ、
中山昭二の徳川家光、
明智十三郎の松平伊豆守、
さらに若山富三郎の宮本武蔵、
宇津井健の荒木又右衛門、
中村竜三郎の樋口十三郎といった豪華な顔ぶれの娯楽時代劇だ。
製作から60年近く経った本作は、新東宝作品を管理する国際放映にもフィルムは残っておらず、ビデオやDVD等のソフト化もされていない。
今回の16ミリフィルムでの上映を逃すと、今後お目にかかれる機会はないかもしれないレア作品だ。
そして作品の上映後には、本作を含む中川作品の音楽を多数手がけ、
また東映特撮作品等でもお馴染みの作曲家、渡辺宙明氏によるトークショーも開催する。
そして第二部が、上映会場の向かい側のPRONT ライブラリーダイニングにて、中川監督を偲びながら関係者・ファンが交流を深める“酒豆忌”となっている。
なお、映画上映&トークを含む酒豆忌の参加費は3500円。
映画上映&トークのみの場合は1500円となっている。
事前予約は下記FB頁にて受付中だが、当日受付もある。以下、「酒豆忌」実行委員会の正式告知より。
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●酒豆忌(中川信夫監督を偲ぶ集い)のお知らせ
酒と豆腐をこよなく愛したわれらがカントク中川信夫さんを偲ぶ集い「酒豆忌」を、本年は下記の通り行います。
「酒豆忌」は多くの映画関係者の皆様、劇場各位のご協力、そしてファンの皆様に支えられて、毎年欠かさず続けてまいりました。
本年は中川監督の三十三回忌にあたります。
長きにわたりこの会を継続できるのは、参加してくださる皆様のおかげであると、実行委員一同感謝しております。
さて本年は、日比谷図書文化館コンベンションホールにて、永らく上映の機会のなかった『将軍家光と天下の彦左』(1957年)を16ミリフィルム上映いたします。
上映後のトークショーとして、本作品の音楽を担当された渡辺宙明先生のお話をうかがいます。
また、早稲田大学演劇博物館所蔵の古川緑波氏直筆資料をもとに、本作の撮影現場の様子などについて解説を行う予定です。
酒豆忌は、上映会場向かい側の「PRONTO ライブラリーダイニング 日比谷店」にて行います。
映画とトークをお楽しみいただいた後、皆様で酒豆忌を盛り上げていただきたく、ご出席をお待ちしております。
なお、最後になりましたが、長年幹事を務めて頂きました瀬川昌治監督が本年6月20日にご逝去されました。
今までのご協力に感謝申し上げるとともに、謹んでご冥福をお祈りいたします。
記
◆日 時
2016年9月17日(土)
13時30分 受付開始
14時00分〜15時15分 『将軍家光と天下の彦左』上映(16ミリ)
15時20分〜16時20分 トークショー&解説
16時30分〜18時30分 酒豆忌
◆上映会場
日比谷図書文化館 日比谷コンベンションホール(B1F)
千代田区日比谷公園1番4号(旧・都立日比谷図書館)→アクセス
◆酒豆忌会場
PRONTO ライブラリーダイニング 日比谷店 (日比谷図書文化館B1F)
◆会 費
3,500円(上映のみ参加される方は1,500円です)
酒豆忌実行委員会
幹事:香川京子、桂千穂、北沢典子、坂下正尚、鈴木健介、矢代京子、渡辺宙明
実行委員:伊藤範子、岩畑雄一朗、川鍋かつら、下村健、高木美貴、高橋洋、富田翔子、長谷川康志、原口和也、宮田晴夫(殿井君人)、横山俊雄
連絡先 「酒豆忌」事務局 鈴木健介
TEL 03-3480-5148
FAX 03-3480-9687
2016年8月13日
※お申込、お問い合わせは、
下記の公式facebookイベントページにメッセージ、もしくはメール vzg03213あっとにふてぃ.com(ひらがな部分を@niftyに変えてください)にてお願いします。殿井が承ります。
◎2016年酒豆忌(中川信夫監督を偲ぶ集い)
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以上!ヨロシクね♪
]]>西暦2016年9月5日。
秋葉原UDXシアターに、知る人ぞ知る「白色彗星のテーマ」と共に『宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち』の製作発表が行われました。
「宇宙戦艦ヤマト」は1974年にテレビ放送された後、1977年にテレビシリーズを再編集された「劇場版」が公開され、大ヒット。
その勢いにのって完全新作、オリジナルストーリーで作られたのが78年の12月に公開された「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」です。
第1作でガミラス帝国の侵攻を食い止め、地球に緑と平和を取り戻したヤマト。
しかし、その平和がやがて怠惰に変わり始めた時…宇宙の彼方から驚異的な武力を誇る白色彗星帝国がやって来る。
地球の最新鋭戦艦を粉砕した白色彗星帝国に、ヤマトのクルーは絶望的な戦いを挑むことになる…
というのがあらすじ。
沢田研二の甘い歌声に乗せて、描かれる悲壮なラストは、徹夜して鑑賞したファンの涙を枯らし尽くしました。
そして、2012年には「宇宙戦艦ヤマト」のコアとなる部分は継承しつつ、新たな解釈、新たなスタッフで旅に出た「宇宙戦艦ヤマト2199」。
それが、いよいよ新シリーズ「2202 愛の戦士たち」となって帰ってきます!
「「愛の戦士たち」を見たかったのに父親に「キタキツネ物語」にしなさい」
と敢え無く却下をくらったという福井氏。
第1作の放送当時広島在住で
「裏番組にハイジがなかったので「猿の惑星」を見たがる弟を説き伏せてTVにかじりついていた」
という羽原氏と、リアルヤマト世代にしか分からない胸アツな思い出を披露してくれました。
今回の「ヤマト2202」は前作の3年後からスタートします。
時に西暦2202年。
あの壮大な片道16万8000光年にも及ぶイスカンダルへの大航海から宇宙戦艦ヤマトが帰還して、既に3年――。
〈コスモリバース・システム〉により、かつての青い姿を取り戻した地球は、ガミラス帝国とも和平条約を締結。
復興の傍ら、防衛のためと最新鋭戦艦アンドロメダを含む新鋭艦隊の整備が進められていた。
イスカンダルのスターシャの願いも虚しく、地球は軍拡への道を歩み始めていたのだ。
はたしてこれが、かけがえのない数多くの犠牲の果てにヤマトが成し遂げた、本当の平和なのだろうか?
そして、宇宙の平穏を願う女神テレサの祈りが、ヤマトを新たな航海に誘う。
いま、宇宙を席巻するガトランティスの脅威が、地球に迫っていた――。
うーん、まさに現代の混沌とした世界情勢も見据えて、地球=日本という「国家の在り方、人の在り方」も含んでいるであろう、万感のストーリーが予想されます!
製作スタッフに引き続き古代進役の小野大輔さん、森雪役の桑島法子さんも登壇。
前作から3年後という今回の設定では桑島さんによると
「雪が古代を尻に敷いているはず」
と語り、また2人でいちゃいちゃできるのが楽しみと語れば、
小野さんも
「また、雪、雪、雪―!」
って呼べるんですねと、早くも息の合ったところを見せてくれました。
また、今作ではスポーツパフォーマンスブランド「アンダーアーマー」とのコラボレーションを実施。
劇中のキャラクター・山本玲とアドバイザリー契約を締結したことも発表されました。
ラストは、ついこの間日本中の胸を熱くさせたケンブリッジ飛鳥選手が、レッドも鮮やかな錨マークのTシャツで、
モデルのKellyさんは森雪をイメージしたイエローとブラックをあしらえて登壇。
2人の抜群のプロポーションに会場もどよめいておりました。
お二人にはそれぞれヤマトの模型がプレゼントされたのですが、精巧な模型の感触を確かめつつ、終始顔がほころんでいたケンブリッジ飛鳥選手が印象的。
やっぱ模型を手にして顔がほころばない男の子はいないよね!
羽原監督からはあのリオ五輪のバトンを例に挙げて
「色々な人たちがバトンを受け継いできた『宇宙戦艦ヤマト』を今後も広げていきたい」
と力強いコメントがあり、
西崎プロデューサーからは
「ヤマトファンなら泣いてしまう。ハンカチでは足りないと思うので、バスタオルを用意してください」
とのコメントまで飛び出した『宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち』。
シリーズは全七章で、まず第一章が2017年2月25日(土)より、全国15館にて2週間限定劇場上映され、上映劇場では特別限定版ブルーレイも先行発売されます。
今回発表されたキャッチコピーは「この「愛」は宇宙を壊す―」
「宇宙戦艦ヤマト」の最大のテーマ「愛」。
愛さえあれば…愛こそ全て。その愛が宇宙を壊すとは如何なることなのか?
あの美しく悲壮な「愛の戦士たち」は今度はどんなストーリーとなってファンの心を揺さぶるのでしょうか?
2017年、新たなヤマトが旅に発つ…
▼『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』特報 - YouTube
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『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』制作発表
日時:9月5日(月)
場所:秋葉原UDXシアター
出席者:小野大輔(古代進役)、桑島法子(森雪役)、西?彰司(製作総指揮)、羽原信義(監督)、福井晴敏(シリーズ構成・脚本)、赤倉吉典(株式会社ドーム取締役兼執行役員CMO)
スペシャルゲスト:ケンブリッジ飛鳥選手(アンダーアーマー契約選手・陸上短距離)、Kelly(アンダーアーマー契約モデル)
(C)西?義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会
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▼映画「KARATE KILL/カラテ・キル」公式サイト
©2016 TORIN,INC.
先頃開催されたブチョン国際ファンタスティック映画祭2016でのワールド・プレミア上映でも、欧米に比べるとアジア圏は大人し目といわれる客席をも大いに沸かせたこの快作が、日本でも9月3日より待望の劇場公開がスタートする。
一般のアクション好きを満足させると同時に、脇を固める光武組キャスト陣や、アクション、流血描写など、光武印をそこかしこに刻印しつつ、光武ファンの予想をいい意味で裏切る仕掛けも施された本作について、ブチョンでの上映を終え、七月末に一時帰国した光武蔵人監督に行った直撃インタビューをお届けしよう!
――まずは監督第4作として、空手アクションを撮った経緯からお聞かせください。
「最初の二本『モンスターズ』、『サムライ・アベンジャー/復讐剣盲狼』はインディーズでのオリジナル企画ですし、『女体銃 ガン・ウーマン/GUN WOMAN』もマクザムさんから何か一緒にやりませんか?という依頼の中で、温めていた企画を一緒にディベロップしていったものでした。
で、今回はゆうばり映画祭で『女体銃?』を認めていただいたマメゾウピクチャーズの久保エグゼクティブ・プロデューサー、岡崎プロデューサーに、ハヤテという空手家を映画俳優にしたいので一緒にやりましょうと、アイドル映画の監督に抜擢してもらえたような、初めて雇われ監督に昇進した感じです。
物語はその後一緒に創っていきましたが、ハヤテありきでこれをという出発点は初めての経験でしたね。」
「最初の打ち合わせの際、久保さんにもお伝えしたんですけど、僕自身はマーシャル・アーツ映画というジャンル自体にはあまり思い入れはなく、格闘技オタクでもないんですよ。
勿論、ブルース・リーや初期のジャッキー・チェンの作品は大好きですが、後続の何百発殴っても倒れないとか、空飛び始めちゃうようなのはあまり好きじゃなく、最近のはあまり観てない。
でも、久保さんがそれでいいんだと。実はすごい格闘技オタクである久保さんと、映画オタクの僕、アクションオタクの田渕景也(アクション監督)、空手オタクのハヤテが四つ巴になって創ればいいという話でしたので、それでよければ是非やらせてくださいとなったんです。」
――ハヤテ演じる主人公ケンジのキャラクターは、これまでの光武監督作品に比べ屈折を感じさせない正統派ヒーローの佇まいでしたが、ハヤテありきの部分が大きい故ですか?
「でもやっぱりケンジというキャラクターは、狂ってるとは思うんですよ(笑)。
アメリカ乗り込んでって、いきなり敵をボコボコにし出すんだから頭のおかしい主人公ですよ。でも、確かに屈折はしてないですよね。
加えて今まで撮った三作が全部復讐ものでしたから、今回は復讐を封印しようというのは意識的にあり、例えば両親を殺された空手家がLAに?という話も出来ましたがそれはやめ、復讐ものではなくレスキューものにしようと。
ただやはり僕は復讐に引力を感じてしまうので、脚本を書く中でケイコという復讐のエレメントも入ってきてしまいました。」
©2016 TORIN,INC.
――主演の“アイドル”ハヤテについてお聞かせください。
「やっぱり本物ですよね。本物の空手家であり、最初は演技的にはそんなに期待できないのかな?という思いも実はありました。
ケンジを猪突猛進型の判り易いキャラとし、ハヤテが上手い役者でなくても成立するような形にはあえてしてます。
けど、実は役者としてもかなり技のある演者で、劇中ケイコとの車のシーンで涙を流すじゃないですか。
あれ一回だけじゃなくて、何回ものテイクで同じタイミングで彼は涙を流せ、映画俳優なんだなと感じましたね。
だから最初は演技が出来る空手家という印象でしたが、撮影の途中からは空手が出来る映画俳優、映画俳優ありきで見るようになりましたね。
ただ人としては面白くなくて、呑んでても飯喰ってても仕事の話しかしない!(笑)。」
―キャバクラ“シークレット・トレジャー”で、ハヤテが5人連続で倒す様をカメラを回転させて捉えたようなトリッキーな部分も含め、細かくカットを割りすぎずに見せてくれた印象を受けましたが、本作のアクション演出にあたり心がけた点はありますか?
「最初に田渕とハヤテと話したのが、寄りでアクションを誤魔化さないということです。
リーアム・ニーソンが戦っても強そうに見えてしまう、寄り寄りでのアクションは嫌いなんですよ。
あれだと誰でも強いし、本当にあたってるかも判らない。
今回やらせていただく上で、ブルース・リーの全作品を観直したんですが、カメラワークはほぼなくて、据え置いてあるだけが多い。
今回はそれを狙って勝負したいなと。
ただそこまでストイックにすると、今のお客さんは多分飽きちゃう。
そこで撮影期間も短かったので、アクションは常に二台が回っている状態で撮影し、Aカメがちょっと引き気味、Bカメが寄り気味で主にハヤテの手足を追ってバランスをとるようにしました。」
――LAにハヤテが渡っての発端部分、北村昭博演じる“Sexy Japanese Man”とケンジのバトル部分は、ハヤテにぼこられては下手に出て隙を狙って反撃しまたぼこられる北村の演技がユーモラスかつ生の喧嘩のノリで惹かれましたが、この部分の掛け合い等はアドリブもあったんでしょうか?それとも脚本通り?
「芝居というか展開は脚本どおりです。
ただ、壁に打ち付けられガラスが割れるところで、彼はホントにぶつかって軽い脳震盪をおこし、殺陣は全部とんじゃったんですよ。
なので戦いはほぼアドリブで、多分ハヤテが本当の空手家じゃなければ、あそこまで鮮やかに対応できなかった。
ハヤテもガチで避けましたと言ってるくらい激しい戦いになりましたね。
そんなガチの喧嘩感で、あそこはちょっととんがったというか異質な感じになりました。
この後の、360度回転で捉えたキャバクラで5人と戦う場面までは、ケンジのスイッチは殺しには入ってません。
黒人のジャンキーが階段から落ちるところではその生死を見せてませんし、キャバクラの店長を撃つ所で、初めて殺しのスイッチが入りケンジのフェイズ2に移るということは、ハヤテとよく話し合って進めてます。」
――空手と木刀での戦いを経て、そのスイッチを入れる契機となるクラブ・マネージャー役の鎌田規昭は、情ないコミカルさと凄みが渾然一体となった存在感も絶妙でしたが、『サムライ?』『女体銃?』と御一緒され、今回のキャラは宛書だったんでしょうか?エンド・クレジットによれば作品のタイトルロゴも担当されているようですね。
「そう、作品のオープニング・タイトルは書道家でもある鎌田の書です。
『サムライ?』の時も彼に書いてもらったんですが、今回は血でブチュッとしたような字にしたかったのでその点を何度もリクエストして、最終的に彼が指で書いてくれたものになっています。
空手と剣との戦いは本当の空手家ハヤテに、一番戦い難い他の武術はなんだと訊ねたところ、「刀です」という話になったので、それに則りこの木刀との戦いとクライマックスの剣豪との戦いとの二つ入れて、鎌田の台詞を剣豪ファイトに繋がる伏線にしたんです。」
▼例によって強烈な存在感を滲ませるバーコードさん(左)に扮した鎌田規昭は今回のタイトルロゴも担当した才人。
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――そして、本作での敵はカルト集団“キャピタル・メサイヤ”ですが、今回カルトを選んだ理由をお聞かせください。それと、集団の腕を振り上げたりの描写って、数日前に監督がフェイスブックにお気に入りとしてあげていた…
「そう、ジョルジ・パン・コスマトスの『コブラ』ですね。
実はカルト・リーダー、バンデンスキーのナイフも『コブラ』の“ナイト・スラッシャー”と同じと拘ってます。
アメリカで一番有名なカルトというとチャールズ・マンソンになると思うんですけど、やはりヒーローになってしまう悪人の代表格はカルト・リーダーかなというところから入りつつ、今回の映画ではバンデンスキーという悪役をラスボス的な凄い奴にはしたくなかったんです。
最後にラオウが出てくるようなベタな展開にはせずに、バデンスキーは力でというよりも、話術だったりダークなカリスマ性だったりで人を支配している感じにし、裏ラスボス的存在に至る伏線としても洗脳というキーワードが有効だったので、ただの悪者ではないカルトにしました。
ただあのキャスティングは結構大変だったんですよ。
ハヤテは立っ端がそんなにないので、彼より小さくてちゃんと芝居もできるアメリカ人を探すというのは結構至難の業だったんです。」
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――そう、洗脳の儀式の場面は、予想の斜め上の展開でやられましたよ(謎)。
「あれはバンデンスキー役のカーク・ガイガーのアイデアがきっかけになっていて、脚本の段階では恐らく皆さんのご想像通りの展開だったんですよ。
性的不能が彼のパワーの源になりという部分を描こうとしていたんですが、カークが「こんなにクレイジーな奴が、そんな普通の行為に耽るのか?」と疑問を投げかけてきたので、それも一理あるなと実際に撮影した形でカークにピッチしたら「それだよ、それでいこう」とのってきて、あのシーンが生まれたんです。
音もそうとしかきこえない形でいれてあるので、カメラがゆっくり下りていくと観てる方は「うわ、嫌なもの見せられるだろうな」と思ってると、嫌は嫌でも想像したよりはほっとする変な感じにしてあります(笑)。」
――ケンジの妹マユミ役の紗倉まなはいかがですか?教団から逃げるために信者を蹴り倒す場面も御本人ですよね?
「彼女が信者を倒して逃げる場面も、勿論本人が演じてます。初めてのアクションですし、まなちゃん優しいので結構蹴りがソフトだったりもしたんですが、そこはリアルにというか、もっと強くみたいな指示は我々の方でも出しました。多分、彼女に蹴られたい男もたくさんいるでしょうね(笑)。
彼女自身は非常に素直な方ですね。『エターナル・マリア』でヒロインを演じてますが、多くのスタッフに囲まれ、かつアメリカでの撮影は今回が初めてで、今までで一番楽しかった現場だったと言ってくださり嬉しく思ってます。
マユミのキャラクターは演技での深みというよりも存在であり、映画の中で大切かつ一番大きな記号です。
あえて深堀はせず、こんな妹ならという納得感が一番重要だと思ったので、本編中ではほぼ2シーンしかないのですが、ハヤテとの一緒のシーンで二人がどこかで通じ合ってる感じを醸し出してもらうために、短いLA滞在期間でしたけど二人で一緒に食事してもらったり、接近してもらった部分はありますね。」
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――そして、光武組では欠かせない亜紗美が演じるケイコですが、ケンジに銃と戦うトレーニングをし、共闘していく過程での表情の変化で、二人の関係がロマンチックなほどよく出ていて、『女体銃?』のマユミとマスター・マインドの関係とは対照的でしたね。トレーニング場面では、ケイコの台詞が消されていても、よく伝わってきました。
「え?っと、どなたでしたっけ?(爆笑)
『女体銃?』のマスター・マインドとマユミの関係は、獣が傷を舐めあう感じなので突然やっちゃう感じが狙いでした。
今回のケンジとケイコは心の襞が触れ合って、ケンジはどうか判らないけど、ケイコの方は2・3年復讐の機会を狙い孤独な人生を送っていたところで、久々に同郷の人間と出会い惹かれてしまう。
70年代の映画って復讐に燃えてたり、大事なミッションを抱えるヒーローが、急に女と寝ちゃうじゃないですか。そんな時間無いでしょ!って寄り道が多い(笑)。今回、それもやりたかった。
必死に探せよってところで、余裕ぶっこいてる感じを出すためにも、二人の心が接近するところは短い時間でしたが丁寧に描きました。
それと、僕はトレーニング・モンタージュ・フェチなんですが、ハヤテは最初から空手マスターなので、トレーニングする必要がない。それで今回は描けないのかな…と思ってたんですが、弾を避ける技を修得しなくてはならないとすれば一石二鳥!トレーニング・モンタージュも撮れるし、それと二人の心の接近とを二重構造で描いたんです。
トレーニング中の銃の指導台詞は芝居では全部ありました。ベタな演出かもしれませんが、好きになった女の子を見てると、見とれてしまって、その子が何話してるか判らなくても可愛いなぁ…ってのがあるじゃないですか。
そういう感じが出せればいいのかなと思って、ケイコの言ってることはモゴモゴと段々判らなくなっていく形にしたんです。
二人の関係の結末に関しては、これからご覧になる方もいらっしゃいますのでここでは詳しく語りませんが、最初は完成版とは逆も考えてたんです。ただ光武映画だから、こいつは絶対生き残るとみんな思うであろうからこそ、逆に申し訳ないけど…と。そういう意味では、ダブル・ミス・リードになってればいいなという感じではありましたね。」
▼対峙するケイコとケンジ。一体なんのトレーニングかは見て驚いてください!
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――ところで、ケイコがバックボーンを語る部分で自衛隊出身?という件があり、それは彼女の能力面での説明であるとともに、娯楽作と言えどもやはり現実の社会に対し監督御自身の感じる部分の現れなんでしょうか?
「もう僕は、山本薩夫に次ぐ社会派監督だと自負しておりますので、そういうメッセージは色濃く入れたいと思っております(笑)。
実際今回は格闘技映画なので、メッセージを入れるところはほぼほぼありません。でも『女体銃?』では悪の組織がある場所が核廃棄場という部分でちょっと入れ、今回はケイコの台詞の中で「バカな政治屋たちが戦争をはじめそうになっているから自衛隊を辞めた」と一言入れたというのはあります。
例えば今回ブチョン映画祭へ行った際に、『ヘルケバブ 悪魔の肉肉パーティー』を撮ったトルコ人のジャン・エヴェノル監督と僕と二人で呑んだんです。
二人とも結構べろべろに酔っ払い、呑みながら話したんですが、人食ホラーを撮った奴と血塗れアクション映画を撮る僕が、世界平和について話しちゃうわけですよ。本当はいい時代だったなら、こんな人体破壊描写がいいよね!みたいは話で盛り上がるべき二人が。
でも二人とも小さな子供がいて、特に彼はトルコが今大変なことになっている中で次回作が撮れるかどうかも判らない状況だと。
僕は日本人ですが、日本も大変なことになっているし、暮しているアメリカも最低と最悪の政治家のどちらが大統領になるかと、本当に世界がおかしくなっちゃって、娯楽映画が作りにくい状況にはなっている。
昨日の事件(相模原障害者施設殺傷事件)じゃないですけど、ああいうことがあればあるほど、僕はディズニー映画でも撮った方がいいんじゃないのか?と思うくらいですけど、そういう状況故にどうしてもメッセージ的なものはちょっとは出てしまいますね。」
――ケイコの片腕でのショットガン捌きが非常にエモーショナルでしたが、片腕場面故の苦労等はありましたか?
「今回の映画は舞台裏で問題がたくさんあったんですが、大きな一つはハリウッド現地スタッフによる美術部なんです。
実は撮影4日目にして全員馘首にして、他の美術部が入ってきてというしっちゃかめっちゃかな状態になってしまって…。
これもちょっと社会派的なことを言うと、アメリカのインフレは半端なく進行していて、『女体銃?』のころの人件費がその僅か3年後ではまらないんです。
そうした問題が集約されたのが美術部って形で出てきたんですが、片腕がフックのケイコは、片腕でガチャっと装弾させないとならないので、本来なら銃身を落として、ストック部分も短くしたソードオフ・ショットガンにしてあげたかったんです。
それを美術部に要求してたんですが、現場にフル・サイズのを持ってきやがって、ふざけんな!ってなったんですが、僻地で撮っていたので取りに行って来いさせると3時間かかっちゃうので、もうそれでやるしかない。
そんな状況でも亜紗美は、結構腕をパンパンにして頑張ってて、ごめんなさいって感じでした。
あまり大柄ではない彼女がでかい銃を使うのは絵的には結果よかったと思いますが、本当はちゃんと小さい軽いものを与えたかったのに、それができなかったのはすまなかったと思っています。」
©2016 TORIN,INC.
――クライマックスのデス・マッチへの導入部は、成田浬のキックボクサーはじめいかにもヤバそうな対戦相手がモニターに映し出され、その中から裏ネットの投票で対戦相手を選ぶ趣向でした。続く死闘は勿論見ごたえがあったんですが、逆にあれだけ候補が並ぶと『死亡遊戯』的な死のトーナメントを期待する向きも多いかと思います。クライマックスを剣豪一人との対決に絞った理由をお聞かせください。それと、対戦候補者のお一人空手マスター役のクレジットが“FUKUMI MITSUTAKE”で、エンド・クレジットで献辞も捧げられてましたが、御家族の方ですか?
「はい、死んだ親父、光武福見へのオマージュで3秒だけ出してます。
勿論空手は全然やってませんでしたが、怖い顔なんでお客さんも納得するだろうと(笑)。
対戦相手の投票場面はちょっとゲーム性を出したかったんですよ。『死亡遊戯』的な展開も考えましたが、僕は既にそれを『サムライ?』でもやっていたので違うものにしたかった。いろいろな好カードがあって、どのキャラクターを選ぶか?あっちの敵の方が面白かったかな?とか思わせつつ、でも投票で剣豪が選ばれるという展開をあえて狙ったんです。」
――そのトレーラーという閉鎖空間での剣豪との死闘で、御苦労された点は?
「あのセットは、実際は壁の色々な所に穴が開いていてカメラを突っ込めるようにはなっていたんですが、壁を動かし人を入れまた壁を動かして閉めて撮影する構造なんです。
サウンド・ステージの空調はガンガンにかけてましたが、箱の中は閉めちゃうとずっと映りこんでもいいように仕込んである照明の熱でもうサウナ状態。
その中で二人の男が走り回って、多いときにはそこにカメラクルー、カメアシに録音部も入ってって撮ってると僕が入れないくらい暑かったですね。
キャストにもスタッフにもすごく大変な状況でしたね。
しかも同時進行で、僕は馘首にした美術部の後任の面接を並行してやっていたという本当にしっちゃかめっちゃかな状態でした。」
――剣豪役のデヴィッド・サクライは、『リザとキツネと恋する死者たち』のチャーミングだけどちょっとダークな個性とは全く異なるリアル・ファイター役でしたが、彼の起用に関してお聞かせください。
「彼との出会いも面白いんですよ。
『サムライ?』がデンマークで配給されたのを彼が見て、非常に高く評価してくれて御本人からフェイスブックで連絡があったのが4年位前で、それ以来のつきあいです。
今回の撮影の少し前にLAに引っ越すので何かをやらせて欲しいという話しがあって、今回の役になったんですよ。
アクションに関しても自分で勉強し、プロの方に師事したりもしてますし、ストイックに体もすごく絞り込んでました。
普通にケータリングなんかで出るものも、非常に気をつけて食べていて、チーズバーガーとか食べないんです。
彼も自分の俳優としての多面性を出したいと思ってる人なので、本作での役は丁度よかったのかなと。」
――そして光武アクションのスパイスとして落とせないゴア描写ですが、本作でも空手での耳引き千切りなどファンには見逃せないものが多々ありましたね。
「ただ今回の発注として、R18にはせずにR15でという話が最初からありましたので、『女体銃?』に比べるとちょっと抑え気味にしたつもりではあります。
それと、耳を引き千切る等の描写は、ハヤテのやっている空手の実際の技なんですよ。
彼のは本当の一撃必殺の殺人空手で禁じ手が無く、極真会館とかのようにスポーツ化されてないんですね。だからいきなり目潰しでくる。
久保さんいわく彼の空手は沖縄空手の「手(ティー)」で、中国から沖縄に渡ってきたカンフーがちょっと沖縄風になったものなんですよ。
動きも小さく、それを映画的にどう派手にするのかが、今回僕と田渕が苦労したところではあるんですけど、蹴りは必ず金的だったり、本当に筋肉を引き千切って動けなくするとかの技がある。だから絶対ハヤテとは戦わないほうがいい(笑)。
今回のゴア描写は僕が要求したことではなく、彼の殺人空手にどういう技があるのかというリストをもらって、それを映像化して行ったものなんですよ。」
――今回、作品に光武印を刻印しつつ、依頼された作品を仕上げたことで、職人監督としての面も大きく開花されたと思いますが、今後の御予定をお聞かせください。
「やりたいと思ってる企画が三つほどありまして、一つは原作もので幽霊が出て来ないホラーを、ちょっと今まで僕がやってきたものとは違うサスペンス・ラブストーリーみたいなカラーでやってみたいなと思ってます。
あと純粋なホラー映画を一本、もう一つはポリティカル・スリラーみたいなものもやりたいなと思ってます。
その他に、雇われ仕事として企画開発中のものも二つほどありまして、そちらはちょっと大作なのでどう進むにしろ時間が必要かなと思ってますが、その二つが実現すると僕ももっと大きなスケールでやれるようになるのと思いますので、楽しみにしてます。」
――では最後に、これから作品を観るファンの方にメッセージをお願いします。
「非常に世知辛い世の中になってきてますので、90分という短い映画ですけど、その間現実社会の嫌なこととかをちょっと忘れられるような、劇中のあの顔をこの顔に置き換えて嫌なやつを殴り倒しているようにとか色々頭の中で考えていただいて、肩の力を抜いて愉しんでいただけたら嬉しいですね。」
(取材・文:殿井君人 2016年7月 マメゾウピクチャーズにて)
▼映画『KARATE KILL/カラテ・キル』予告編 - YouTube
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『KARATE KILL/カラテ・キル』
9月3日(土)よりシネ・リーブル池袋レイトショー他全国順次ロードショー
出演:ハヤテ 紗倉まな 亜紗美 鎌田規昭 デヴィッド・サクライ
カーク・ガイガー カタリナ・リー・ウォーターズ 北村昭博 他
脚本・監督:光武蔵人
エグゼグティブ・プロデューサー:久保直樹
プロデューサー:岡崎光洋/柳本千晶 アクション監督:田渕景也
撮影:今井俊之 音楽:ディーン・ハラダ 編集:サム・K・ヤノ
配給:マメゾウピクチャーズ
配給協力:エムエフピクチャーズ
2016年/日本/DCP/5.1ch/シネスコ/89分/R15+ ©2016 TORIN,INC.
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降り注ぐ雨の中踏切が開くのを待つ少女の前に現れたぐしょ濡れの黒衣の女が、踏み切りに入り男の子を抱きかかえたまま電車に轢かれてしまう。
恋人の隆との煮え切らない関係に陰鬱な想いを募らせていく理佳が、繰り返される悪夢と怪異の末にたどりつく哀しく恐ろしい真相は…
清水崇監督の劇場用としては6年ぶりとなるJホラー作品『雨女』が、6月4日よりユナイテッド・シネマ豊洲他全国の4DXシアターで公開される。
そうこれまでも、『戦慄迷宮3D』『ラビット・ホラー3D』ではデジタル3Dを、
『9次元からきた男』では3Dドーム映像と.
革新的な映像表現にチャレンジしてきた清水の新作は、映像にあわせて椅子が動き、風・雨・ミスト・香りetcといった五感を直撃する4DX作品で、新たな恐怖体験を味あわせてくれるのだ。
そんな中で、『雨女』は企画段階より4DX専用作品として作られており、4DX専用劇場でしか上映しないし、今後ソフト化される予定も一切ない。
まさしく、4DXを味わうために作られた作品なのだ。
物語は、ヒロイン理佳の悪夢からはじまるが、悪夢の中と同様に次第に強まって行く雨と惨劇までの効果ですっかり作品の世界に入り込まれるだろう。
一方でこの効果は、後付の大作にありがちなように、ひたすら椅子が動き回って効果が持続する…なんてことはなく、ヒロインの陰鬱な気持ちと恐怖に寄り添うように緩急をもってつけられている。
ライドや驚きのための効果ではなく、あくまで恐怖感をより高めていくための効果となっているのが実にJホラーらしいのだ。
その一方でツボを押さえた形で、ストレートにショックを与えてくれるものも勿論盛り込まれているので、怖がりな方は特に●元に御用心(笑)。
主人公の理佳役は『少女は異世界で戦った』『東京無国籍少女』等ではハードなアクションを自らこなした清野菜名が、ホラー演技に初挑戦。陰鬱な不安に苛まれながら、恐怖に対峙して行く姿を熱演している。
なお本作の撮影は今年の2月のもっとも寒い時期に行われ、それは過酷な状況だったとのこと。
幸か不幸か、スタッフ・キャストに雨男・雨女はいなかったようで、厳寒の中普通の衣装のキャスト陣はスタッフが降らせた雨でぐしょ濡れになりながら、またクライマックスでは長時間水深5メートルのプールの中で演技に臨んだそうだ。
清水崇監督
「水中シーンでは、俳優陣はほ ぼ一日中水に浸かって、体力の限界を超えた撮影でした。
勿論温水を用意してたんですが、寒さと息継ぎと水圧に苦しめられ、とてもじゃないけどもたない。
清野菜名は身体能力にも長けていて、アクション物にも出ていますが、流石の彼女も限界を超えて最後の方は青い唇で震えながら「監督、寒いの通り越して気持ち 悪い…」って。
それをなだめ、励ましながら「ごめん、もうちょっとだから」と、僕も酷だなと思いながら撮りきりました。」
そんな清野らのギリギリの演技が、4DX効果と相俟った恐怖と悲しみの交錯するクライマックスは是非とも劇場で体感して欲しい。
なお、清水崇監督の4DXへの取り組み等についてうかがったインタビューを、7月刊行の『特撮ゼロ VOL05』に掲載する予定なのでしばしお待ちいただきたい。
最後にその予告として、清水監督からのメッセージをお届けしよう。
「後からソフト化は絶対しない予定で作っているので、劇場でしか観られないし、劇場でしか体感できない4DXというシステムありきで作ってます。
短編ですし、料金も通常の4DX作品の半分くらいなので観やすいと思います。
映画館でこその作品なので、是非これをきっかけに、ホラーが苦手な方も含め、「視聴」でなく「体験」に慣れ親しみ、楽しんでもらえたらと思います」
なお、『雨女』上映館のうちユナイテッド・シネマ豊洲は、前回こちらで紹介した同じく清水監督の3Dドーム作品『9次元からきた男』を上映中の日本科学未来館からもほど近いので、未見の方はそちらも併せて観に行くのもいいだろう。
どちらも、まさしく劇場でしか体験できない極上の、かつそれぞれ全く別の映像体験が味わえるのだから。
▼6.4(土)4DX®限定公開『雨女』予告編映像 - YouTube
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『雨女』
2016年/日本/35min/配給:ユナイテッド・シネマ
監督・脚本:清水崇
キャスト:清野菜名、?俊太郎、高橋ユウ、みやべほの、奈緒、田口トモロヲ
6月4日(土)から全国のユナイテッド・シネマ他にて4DX®限定公開!
(C)2016「雨女」製作委員会
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]]>4月20日から日本科学未来館ドームシアターガイアで上映される『9次元からきた男』(3D)は物理学究極の課題「万物の理論」を視覚的に紐解こうというビジュアルスペクタクル。
癒し系のプラネタリウムには留まらない、眼を、耳を、そして脳内を刺激する3Dアドヴェンチャー体験である。
人間は何で出来ているのか?
世界は?
そして宇宙は?
人間も含めた「万物」は何によって出来ているのだろうか?
この誰もが一度は想い、そして忘れた究極の問いに挑み続けるのが科学者だ。
この作品では科学者が「万物の理論」解明のカギとなるT.o.E.を追い求める過程で、
ありとあらゆるものに姿を変えるT.o.E.が時空を超えてこの本来、
人間の目には見えない「理論」を我々に見せてくれる。
(画像引用先:9次元からきた男|日本科学未来館 公式ページ)
企画開発から2年半をかけて生み出された30分の映像には、
企画立案サイドからの
「なるべく娯楽要素を入れて、教科書的な退屈イメージを排除!
トラウマを与えて欲しい!」
そして、ドームシアターとは、文字通り半円球(直径15メートル)のドーム型シアターで、大画面を活かした立体視プラネタリウムが人気のプログラムである。
(画像引用先:9次元からきた男|日本科学未来館 公式ページ)
イメージとしては昔のIMAXの
「中に入ると一面がスクリーン」
というイメージをもう少し大きくした印象といえばいいだろうか。
当然、現在の映画館のIMAXとは異なり、人間から見ると半円球のスクリーンを仰ぎ見る格好になるため、シートは可倒式になっている。
音響は7.1CHの立体音響。
3D(立体視)と全方向からの立体音響に応える映像は『戦慄迷宮3D』や『ラビッド・ホラー3D』でも3D映像に挑んだ清水崇。
変幻自在のCGはオムニバス・ジャパンという現在日本映像界でも最強のタッグ。
映像が立体視の場合、音も平面的ではなく、包囲する音場に高さの音場も加わることで、まさに映像の中に入り込んだような没入感を得られる。
特に宇宙誕生(映画でいうと「スタートレック カーンの逆襲」の惑星ジェネシス創生シーンの超最新バージョンといった感じ)や、構成物質をどんどん遡るCGや万物の根源が正体を現すシーンでの、手を伸ばせばそこに存在しているかのようなイメージは、まさに専用のシアターの独壇場といえよう。
(画像引用先:9次元からきた男|日本科学未来館 公式ページ)
T.o.E.に誘われる世界のトリップ感は癖になりそうなライブ感があり、ビジュアル・アトラクションとして是非お勧めしたい作品なので、難解な科学映像などとくくらずに足を運んでほしい。
特に、まだ、余計な常識にとらわれない純粋腦を持った子供が観たら、それこそトラウマサイエンス映画になること請け合いの映像詩といえよう。
ホラーと究極の科学は相容れないようでいて、それを人に伝える時に全く異なる表現手法を取らないと理解しえない部分が大きいのはある種似た者同士ともいえるかもしれない。
因果を超越した「呪い」の恐怖を「映画」という手法で伝えた清水監督こそ、科学究極のテーマの映像化には最も適任だったのかもしれない。
この映像が万物の起源への興味を万人に知らせしめる端緒となったら…
未来がまた一つ変わるかもしれない。
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ドームシアターガイア最新作『9次元からきた男』
2016年4月20日(水)公開!!
そのちょい前の27日東京・渋谷では三度の飯より、昇進より、男よりホラー映画が好き!という謎のOLとみだ嬢プレゼンツ「第3回とみだドール映画祭」が厳かな雰囲気の中で執り行われた。
元々は、自分の1年間に観たホラー映画に対する感想を友達の前で延々喋るだけというジコチューキワマリナイ、イベントだったが、3回目の今回は年間鑑賞本数108本=即ち煩悩の数だけホラー映画を見た!といういき遅れ確定な素晴らしい業績に賛同。
ここではお馴染みのライターの殿井君人氏のトーク参加の他、
ゲスト審査員に映画監督の清水崇氏、
雑誌「映画秘宝」から岩田和明氏、高橋ヨシキ氏、
俳優の北村昭博氏が参加。
自分で書いたはずの構成台本を端からガン無視決め込むトミダ譲をサポートする難役MCをジャンクハンター吉田氏が担当するという、殆どの人が来て吃驚のイベントとなった。
]]> これだけ多くの著名人が一肌脱いだので、トミダ譲も興奮したのか、ピンク一色という華麗なコスチュームに身を包んだ「トミダボーグ」では映画(短編)初主演をこなし、オープニング上映作品として花を添えた。もちろん「トミダボーグ」は2015年日本で一番地獄と天国(順番でいくとこうなります)を見た男こと山本淳一監督作品だ。
因みに第3回トミダドール結果は以下の通り。
●主演男優賞:アンソニー・ウォン(『タクシーハンター』)
●主演女優賞:パス・デ・ラ・ウェルタ(『マッドナース』)
●新人監督賞:安川有果(『Dressing Up ドレッシングアップ』)
●監督賞:ジョー・ダンテ(『ゾンビ・ガール』)
●とみだドール大賞:『心霊写真部劇場版』『ババドック〜暗闇の魔物〜』
栄えある突然のとみだドール大賞に選ばれた『心霊写真部劇場版』からは、原作・脚本を手がけた福谷修氏と特殊メイク担当の千葉さんも壇上に上がり、この記念すべきイベントの成功(予測)を観客と共に喜んでくれたようだ。
イベント中半の目玉はなんといっても、もう一つの「要塞警察」といわれる、籠城型サスペンス「真夜中の処刑ゲーム」の吹き替え版特別上映。
実際にあったカナダでの警官ストライキをベースに、一時的に無法地帯と化した街で、アパートに籠城した市民と、過激すぎる自警団の死闘を描いたこの作品。
津嘉山正種、中田浩二らによる吹き替えで見てこそなんの予備知識もなく、ただ後がきになってしょうがないTV洋画劇場の醍醐味を劇場で味わえたのは至福の一瞬だったりする。
因みに、候補作品の中で個人的には『ニート・オブ・ザ・デッド』、
ゾンビの存在が日常化した世界で、引きこもりのゾンビ化した息子を必死で守り、尚育もうとする母親を熱演した筒井真理子さん(『相棒』『科捜研の女』などきらりと光る脇役でお馴染み)に主演女優賞をあげたい。
パス・デ・ラ・ウエルタの存在感はほぼサイボーグのような存在感で、肉体そのものが個性的過ぎておっさん的にはアカンのよ。
今、ホラーは明らかに絶滅危惧種化しつつある。
特に血飛沫・残酷系はおろか、オーソドックスなゴーストストーリーも含めて一般的に鑑賞できる機会は激減している。
それでも実際は年間108本もホラー映画が公開されており、その記憶をこうして残そう、伝えようというチャレンジは大切に育んでいきたい。
そう、あの子は大人しい子だから大丈夫!とゾンビ化した我が子を守ろうとした筒井真理子さんのように。
鐘の音の短い長いで逆ギレ起こしてもいいよ。
トミダボーグの衣裳を着てこなくてもいいよ。
ゲストに椅子をわざわざもたせてもいいよ。
撮影タイムだって言ってんのに、端っこにいてもいいよ。
ゲスト呼んでおいて花束渡すの忘れててもいいよ。
金の星シールが暗闇で剥がしにくくてもいいよ。
赤いドレスが…もういいや。
いつの日か筒井さんを呼べるまで頑張って続けてください!
頑張れトミダ!頑張れ!
生ける呪怨…いやリアルメイ!陰からだけど応援はしているぞ!
*『第3回とみだドール映画祭』の模様は↓のムービーでご覧いただけます!
ちょい長めですが、興味のある方はぜひ!
今月もジャンル・ファンに向けられたものだけでも、
今年で26回を数える国内唯一の国際ファンタスティック映画際である
“ゆうばり国際ファンタスティック映画祭”や、
1月から開催中で今年で5回目となった公開劇場主導による映画祭で
ソフト・スルー予定だった作品を一挙に公開する
“未体験ゾーンの映画たち 2016”などがある。
そして、そんなジャンル・ファン向け映画祭としては、知名度はまだまだだけど、
是非ここで注目してもらいかつ参加をお薦めするご機嫌な映画祭が、
2月17日(土)に渋谷のユーロライヴにて開催される
“第3回とみだドール映画祭 ”だ!
この映画祭は、主催者である“とみだ嬢”が、
前年に劇場で公開されたホラー映画を基本全て映画館で観て、
その中から独断と偏愛によりベスト・ホラー作品に与える“とみだドール賞”をはじめとする各部門賞を選出し、
ホラーの魅力をファン目線で広めていこうという、実にパーソナルな映画祭なのだ。
で、ここを読んでる大半の方には、そもそも
“とみだ嬢”って誰よ?
という疑問符が当たり前に浮かんでいることかと思われるが、
彼女は別に業界人でもなんでもなくごくごく普通の27歳のOLである。
でもただひとつ違っていたのはとみだ嬢は行動するホラー・マニアだったということだ。
]]> そんな彼女自身に関しては、▼『第3回とみだドール映画祭』主催:とみだ嬢 インタビュー
ボクはひょんなことから一昨年彼女と知り合う機会があり、
前回のとみだドール映画祭2014も参加させてもらった。
普通に黙ってれば可愛らしい御嬢さん(…と書いたんだから何かくれたまえ)なのに、
何故にホラーなどという茨の道に向かうのかと、他人事ながら思わないこともないのだが、
同時にすべてのホラーを劇場で観ようというのは、
ホラーに目覚めた初期にはボクも思い立ったことだったりするので、
その姿勢には親近感を覚えるし、
かつそんな彼女はやがて新たなフォラー・ファン世代を牽引していく存在になるだろうとの期待も感じているし、
彼女の活動を見ている限りではそんな思いは間違ってなさそうだ。
因みに、彼女が友人を集めて行った第1回、
会場は一般非公開であったが当日の授賞式の様子を配信した第2回の受賞結果は以下のとおり。
なお表記の“た”と“だ”は開催時の資料のままで、正しくは“だ”に統一。
【第1回とみた国際映画祭2013】
主演男優賞:イライジャ・ウッド『マニアック』
主演女優賞:ヴェラ・ファーミガ『死霊館』
新人賞:リチャード・ラーファースト『武器人間』
監督賞:ロブ・ゾンビ『ロード・オブ・セーラム』
とみたドール賞:『死霊館』
▼映画『死霊館』予告1【HD】 2013年10月11日公開
【とみだドール映画祭2014】
主演男優賞:宇野祥平『殺人ワークショップ』
主演女優賞:亜紗美『女体銃 ガン・ウーマン/GUN WOMAN』
新人賞:スティーヴン・コスタンスキ『マンボーグ』
監督賞:白石晃士『戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版』『ある優しき殺人者の記録』『殺人ワークショップ』
どみだドール賞:アストロン6『マンボーグ』『ファザーズ・デイ 野獣のはらわた』
▼「マンボーグ」&「ファーザーズ・デイ」予告編
なお、ここに書きだした以外にも、
年度によって“ファンタスティック賞”とか“ベスト・ゾンビ賞”とかの各種部門賞があったりもするのだが、
とりあえずこちらでは今年も共通の主要部門以外は割愛させていただいた。
また、年間公開されたすべてのホラー映画を劇場で観ちゃる!と決意する以前に、
観た範囲でお友達への啓蒙活動として勝手に決定した第0回(2012年)は二部門のみで、
主演女優賞:ジェシカ・ビール『トールマン』
作品賞:『トールマン』
▼映画『トールマン』予告編
をそれぞれ選出したとのこと。
傾向と対策は見えてきたかな?(笑)
そして今年の第3回は、渋谷・ユーロライブを会場にして、
ついに一般公開のイベントへとパワーアップ!
彼女のホラーへの想いに共感したプロのクリエイターらによるゲスト等の参加も決定。
当日は途中に休憩をはさみつつ、15時から20時まで5時間にわたるホラー・ファン至福のイベントになりそうだ。
以下、当日の進行に沿ってプログラムを紹介していこう。
【映画祭オープニングムービーは山本淳一監督作品『トミダボーグ』!】
映画祭当日のオープニングを飾るのは、
以前このブログでもロング・インタビューを掲載した山本淳一監督(『ミートボールマシン』『口裂け女 リターンズ』etc)による完全新作撮り下ろしオープニング・ムービー『トミダボーグ』。
スタッフ&キャスト陣もとみだ嬢以外は山本組の面々が全力を注ぎ込んだプロフェッショナル・ワークだ!
このムービー自体は、映画祭の予告編を兼ね現在ネットでも視聴可能だが、
「おじいちゃんはエリミネーター!お父さんはマンボーグ!お母さんはミートボールマシン!」
という惹句に偽りのない、
VHS世代感涙ものの80年代特殊メイクSFスプラッターへの愛に満ちた快作となっていて必見だ。
オープニングのVHS感への拘りや、
トミダボーグのディテイルなど是非1回きりのスクリーン上映で確認・堪能していただきたい。
▼トミダボーグ - 第3回とみだドール映画祭オープニングムービー
【プログラム1:とみだドール映画祭 各賞発表】
大賞のとみだドールほか各賞のノミネート作(3〜6本)と、
現時点でまだまだ本人選出悩み中らしい(笑)受賞作を一挙に発表する本映画祭のメイン・イベント。
彼女が昨年劇場で観たホラー作品はついに3桁を突破し、
その数は人間の煩悩の数と同じ108本に(深い…のか?)。
その中から彼女が選んだベスト作品はもとより、
選出はされなかったけど印象深かった2015年公開のホラー作品全般をあわせて振り返るコーナーも同時開催予定。
なお、ここで私殿井もちょこっとゲスト出演させていただきますが、
噛みまくり&「あれだよあれ、なんだっけ?」連発を避けるべく始終相槌うってるのかなと(爆)
なお、全コーナー通じての登壇は、主催のとみだ嬢とMCのジャンクハンター吉田氏です。
【プログラム2:とみだドール映画祭ホラー短編(ショート・ムービー)コンテスト 2016】
今回から初めて加わったプログラムで、
プロ・アマを問わない一般公募による120秒以内の撮り下ろしホラー・ショートムービーから優秀賞・最優秀賞を選出!
噂では、あの方(謎)からの応募があったとか耳にしてこれまた当日が楽しみだね。
審査員は主催者に加え、
『呪怨』シリーズの清水崇監督、
映画秘宝編集長の岩田和明氏、
デザイナーの高橋ヨシキ氏ら、
ホラーに造詣の深い錚々たる顔ぶれがつとめるので、濃ゆいホラー・トークも堪能できるに違いない。
【プログラム3:特別上映『真夜中の処刑ゲーム』(日本語吹替)】
劇場未公開作品で、
EIONNというマイナーなメーカーからVHS発売(VHS邦題『反撃』)後に、
日曜洋画劇場で放映され、一部でカルト的人気を博しながらも知る人ぞ知るタイトルとして、
カルト的人気を誇るカナダ製籠城サスペンス『真夜中の処刑ゲーム』が、
日曜洋画劇場でオンエアされた吹替え版で、最初で最後の公式上映!
『要塞警察』の流れを汲み『パージ』へと繋がるミッシング・リンク的な傑作なので、
この貴重な機会は絶対にお見逃しなきように。
個人的には昨年リリースされたDVDも購入したけど(VHSは売っちゃったので(笑))
あの一夜の緊迫感あふれるドラマは、やっぱ劇場のスクリーンで再体験したいね。
と5時間の長丁場といいながらも、本当にそれで収まるの??的な濃密なイベントになりそうだ。
そして、これだけ盛り沢山なのに、入場料は前売り¥1500、当日¥1800と超リーズナブル。
新世代ホラー・ファンによる、
新たなホラー・イベントの誕生に、是非皆さんにも立ち会っていただきたい!
因みに、最後にすっげ〜どうでもいい身内情報を書いておくと、
当日は客席に当サイトの拝編集長と武井さんも観に来てくれるらしいので、休憩時間とかには御両人ともあえるお(笑)
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“第3回とみだドール映画祭”
開催日時:2016年2月27日(土)14:30開場 15:00スタート
開催場所:ユーロライブ(ユーロスペース内) 渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2階
前売券:1,500円 ★特製ステッカー付(当日受付にて引換)
▼前売り取扱い :Peatix(手数料無料・要会員登録)
当日券:1,800円
【プログラム】
・とみだドール映画祭 賞発表
・ホラー短編コンテスト優秀賞の上映&表彰!
・特別上映『真夜中の処刑ゲーム』(日本語吹替版)
主催:とみだ嬢
予定ゲスト:清水崇(映画監督)、岩田和明(映画秘宝編集長)、高橋ヨシキ(デザイナー)、殿井君人(ライター)
MC:ジャンクハンター吉田(ライター)
▼とみだドール映画祭@2/27開催!(@tomidadorff)さん | Twitter
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]]>登壇したのは関根勤、飯尾和樹、イワイガワ(岩井ジョニ男、井川修司)にサプライズでアマンダも登場、来客の予想を超える爆笑トークイベントを行った。
]]> ●"人間関係は大事なんだなと思いました”と語る関根の言葉通り盟友、小堺一機、千葉真一、実娘の関根麻里ら個性とバラエティにあふれた顔ぶれが集結。
豪華ゲスト陣が出演する本作で一番苦労した点を問われると
「温水さんと村松さん、酒井さんの3人をとにかく揃えたかったんです」
と、とにかくさえないオヤジを主役にすることへの拘りを語った。
また、タモリ、さんまの出演交渉も自分で行った関根。
「金曜のいいともが終わった直後楽屋で30分で撮った」
とスピード演出ぶりを披露。
「さんまさんは即決してくれて。御殿場での撮影でしたけど一発OKでしたね。
東京から往復で2時間くらいかけて来てもらって50分で終えました。やっぱり凄いです。
そのあと、土下座の撮影があったんだけど、土下座で8回もNG出しちゃって。寒くて手が震えてて…」
物まねの新ネタとして、11月に生まれたばかりのお孫さんの顔真似で場を沸かせた関根。
「映像特典が凄いんですよ。本編より長いから。オンエアされない情熱大陸みたいなものです」
と、本編だけでなく、映像特典も含めて
「家で見ても楽しい映画にしたかった」
騒音 [DVD] TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D) 2015-12-09 by G-Tools |
さて、今年も又カナザワ映画祭の季節が近づいて来ました。
▼カナザワ映画祭2015|かなざわ映画の会
(画像:カナザワ映画祭2015公式HP TOPページより引用)
今回は、非常に盛りだくさんのプログラムが組まれています。
9月19日(土)の午前中から、9月23日(水)の夜まで毎年の事ですが、
ギッシリと映画、映画、又映画の五日間。
会場は金沢駅前の都ホテル地下二階のセミナールーム(元は映画館)。
今年は、まず初日の夜が大注目です。
1933年制作のモンスター映画の不滅の名作「キング・コング」が野外上映されます!
メイン会場の都ホテルから徒歩で5?6分の横安江商店街を会場に、
(お寺の門前町で、創業二百二十年の古書店「近八書房」がジャンルファンにはおススメかな)
夜7時30分からという、大人も子供も観られる時間帯です。しかも、無料。
私は何度もカナザワ映画祭の野外上映に参加していていますが、
毎回開放感のある野外でワイワイと賑やかに映画を観る、劇場とは又違ったお祭りのような楽しさがあります。
これを皮切りに、
「都会人が無知蒙昧で野蛮な田舎へうっかり行って、悲惨な目に遭う」
という「田舎ホラー大百科」として、
原始人達が”火”を求めて、大冒険という台詞無しの作品『人類創生』(1981)、
アメリカの田舎が怖いという作品の古典である人食い一家が登場する
『スパイダーベイビー あるいは(最も狂気な物語)』(1968)、
現代中国の狂気に満ち満ちた田舎を舞台にした『無人区』(2013)、
アメリカ田舎ホラー普及の名作『悪魔のいけにえ』(1974)は高解像度映像4Kによる国内初の上映!
そして、近頃は新作『マッドマックス/怒りのデス・ロード』(2015)でも改めて注目されるオリジナルの『マッドマックス』(1979)などメル・ギブソン作品、
『マウス・オブ・マッドネス』(1994)などアメリカ・ホラー映画界孤高の名匠ジョン・カーペンター作品を、
カナザワ映画祭名物の大音響による爆音上映!
耳鳴りワンワンとしながら、音の迫力を体感して下さい。
そして、特撮ファンや怪獣ファンにお勧めなのが、後半の二日間に集中しているプログラム「彼方より・・・・」。
これは彼方からやってくる何か禍々しきもの達、つまりモンスターを描いた映画です!
闇の世界の種族を描いたクライブ・バーガー原作・監督の『ミディアン』(1990)の劇場公開版よりも16分長い完全版を、
デジタルリマスター化された映像で日本初上映。
公開版ではカットされた、ストップモーションのクリーチャーも出ます!
▼ さしずめ西洋版「妖怪大戦争」な「ミディアン」
映画監督&脚本家フランク・ダラボンの作品を『ブロブ/宇宙からの不明物体』(1989)、
そして問題作『ミスト』のモノクロバージョンを日本初上映!
▼映像に凄みの増した「ミスト」モノクロ版
低予算でもアイデア一杯の映画を作る才人ラリー・コーエンの作品、
ストップモーションのモンスター映画『空の大怪獣Q』(1982)と、
結末が衝撃的なカルトムービー『神が殺せといった』(1976)の二本を上映!
▼何だか観ていて楽しくなる、「空の大怪獣Q」
そして、年季の入ったSFファンには懐かしい、
イギリスの生んだSFヒーロー、クォーターマス教授の映画『怪談クォーターマス教授と地獄の穴』(1967)。
過去には『火星人地球大襲撃』の邦題でTV放送とDVDなどのソフトリリースがされたのみで、今回は日本初公開になります!
▼日本劇場初公開の幻の名作「クォーターマス教授と地獄の穴」
そしてそして、毎回お楽しみのトークセッションは、
「平山夢明 x 牧野修」のホラー作家対決
「バイオレンス映画の新鋭、小林勇貴 x 裏社会に精通するジャーナリスト 鈴木智彦」
カナザワ映画祭ではお馴染みの顔合わせ「宇多丸 x 高橋ヨシキ」
これも恒例の映画の恐怖を語りつくす鼎談 「稲尾平太郎 x 高橋洋 x 白石晃士」
などなど、盛り沢山のプログラムで一杯です。
この他、映画祭期間中は、会場前に金沢ではカルトな品揃えで定評のある古書店「オヨヨ書林」が映画、音楽、サブカルを中心とした古本市を開催。
又、映画祭開催期間中には、金沢市中心部で一日中ジャズの演奏が行われる「金沢JUZZ STREET 2015」や
石川県のカレー店が集結した「石川県カレー選手権」など、
会場周辺で様々なイベントも開催されています。
映画の合間にも楽しめそうです。
ホラー好きには、金沢が生んだ幻想作家にまつわる泉鏡花記念館での
「怪異の泉‐鏡花・幻影の本棚」という、オッと目を惹かれる特集企画などもお勧めです。
皆さんご承知のように、この春に北陸新幹線が開通し、益々アクセスが良くなった金沢です。
報道でも見られるように例年以上の賑わいで、当然連休中も大混雑だと思われます。
遠方から参戦される方は、宿泊など不安に思われるかもしれませんが、丹念に探せばホテルなどは未だ予約出来るようです。
映画祭代表小野寺氏のブログやツィッターでは、金沢市内の宿泊予約状況を逐一リアルタイムで紹介していますので、チェックしてみて下さい。
▼カナザワ映画祭2015期間中の宿泊状況 - 目標毎日更新 カナザワ映画祭主宰者のメモ帳
そして、意外と盲点ですが、金沢の隣の富山県の高岡や富山のホテルもチェックする価値があります。
隣県と行っても新幹線なら数十分、各駅停車でも小一時間の圏内なのです。
実は私自身、日程の前半は富山駅前のホテルに泊まる予定です。
今年のカナザワ映画祭は、例年以上の充実したプログラムで、特に怪獣好き、ホラー好きには見逃す手は無いでしょう。
それでは、金沢でお会いしましょう!
今年は9月13日(日)に開催が決定!
そして2015年は、中川監督の生誕110年にあたる記念すべき年ということで、
2006年にも酒豆忌&特集上映で大変お世話になったラピュタ阿佐ヶ谷の再度のご協力で、
酒豆忌はラピュタビルB1のザムザ阿佐谷にて行い、
そして2Fのラピュタ阿佐ヶ谷では大規模なものとしては、2012年のシネマヴェーラ以来3年ぶりとなる
中川信夫監督特集「挑む 生誕110年 中川信夫〜青春のビッグバン」を、
酒豆忌開催日の9月13日から10月24日までの6週間にわたり開催し、26作品が上映される。
今回のラピュタ阿佐ヶ谷の特集上映の目玉は、
昨年よりファンの皆様にご協力いただき作成したニュー・プリント版により、
大変久方ぶりの劇場上映となる『妖艶毒婦伝 お勝兇状旅』だ。
悪家老に両親を殺され、自身も凌辱され、美しき復讐者となったお勝の艶姿(当時20代半ばだったとは信じ難いほどの宮園純子の色香よ!)と華麗な大立ち回りは是非スクリーンで堪能して欲しい!
…というか、この作品近年になり漸くCS等ではオンエアされる機会も出てきたが、国内ではソフト化されておらず(アメリカではDVD発売済みなのに…)、
劇場以外でも鑑賞するためのハードルが高かった作品なので、この機会をお見逃しなく!
もちろん、『お勝』以外のプログラムも充実。
『東海道四谷怪談』『地獄』『女吸血鬼』『憲兵と幽霊』等、まずは落とせない怪談系の代表作から、
『東海道四谷怪談』(c)国際放映
中川監督自選3本の1本でつましく生きる家族の姿を描いた『「粘土のお面」より かあちゃん』、
『「粘土のお面」より かあちゃん』(c)国際放映
東京の秘境として近年脚光を浴びている青ヶ島を舞台に教師と子供たちの絆の物語『青ヶ島の子供たち 女教師の記録』、
『青ヶ島の子供たち 女教師の記録』(c)国際放映
高橋お伝の生涯を悲劇として描いた『毒婦高橋お伝』等の人間ドラマまで、
『毒婦高橋お伝』(c)国際放映
また『番場の忠太郎』等の時代劇から、
『番場の忠太郎』(c)国際放映
『女死刑囚の脱獄』、
『女死刑囚の脱獄』(c)国際放映
嵐寛寿郎扮するやくざの半生を描いた『私刑〈リンチ〉』等の現代劇まで、
『私刑〈リンチ〉』(c)国際放映
ジャンルや時代を問わない多彩なラインナップとなっている。
さらに今回特筆すべき点として、近年旧作でもデジタル素材による上映が大半になっている中で、
今回はニュープリントの『妖艶毒婦伝 人斬りお勝』以外の作品もフィルムでの上映なのだ。
これはまさに、ラピュタ阿佐ヶ谷だからこそできた快挙だろう。また、
東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品である『鬼姫しぐれ』や、
16ミリ版での上映となる『右門捕物帖 片眼狼』、
『右門捕物帖 片眼狼』(c)国際放映
『右門捕物帖 緋鹿の子異変』、
『右門捕物帖 緋鹿の子異変』(c)国際放映
『風雲急なり大阪城 真田十勇士総進軍』等時代劇の多くは近年の特集上映では上映される機会が少なかった作品が目白押しだ。
『風雲急なり大阪城 真田十勇士総進軍』(c)国際放映
この他、中川信夫監督が助監督として参加し、監督デビューを果たした
市川右太衛門プロダクション(右太プロ)時代の本編が現存しない作品の貴重な撮影現場の様子を、
早稲田大学演劇博物館が所蔵している映像で参考上映する。
こちらは『八百万石に挑む男』上映時に『御用唄鼠小僧』撮影風景を、
『怪異談 生きてゐる小平次』上映時に『東海の顔役』撮影風景をそれぞれ同時上映する。
上映作品の全ラインナップ及びスケジュールは、ラピュタ阿佐ヶ谷公式頁の特集頁をご参照のこと。
▼「挑む 生誕110年 中川信夫〜青春のビッグバン」
2015年9月13日(日)〜10月24日(土)@ラピュタ阿佐ヶ谷
勿論、上映期間中には、中川信夫監督作品ゆかりの映画人を招いてのトークイベントも開催されるので、そちらもお見逃しなきように。
【トーク・イベント】
9月20日(日)12:50『「粘土のお面」より かあちゃん』上映後
ゲスト:二木てるみさん、津沢彰秀さん
※因みに、ご存知の方も多いと思うが、劇中二木てるみさんの弟を演じていた津沢彰秀氏は、われらが『ウルトラマン』のホシノ少年だよ!
10月4日(日)17:00『亡霊怪猫屋敷』上映後
ゲスト:渡辺宙明さん
10月10日(土)13:00『怪談累が渕』上映後
ゲスト:阿部寿美子さん
10月15日(木)13:00『妖艶毒婦伝 お勝兇状旅』上映後
ゲスト:宮園純子さん
10月17日(土)13:00『妖艶毒婦伝 お勝兇状旅』上映後
ゲスト:高田宏治さん
10月24日(土)15:00『怪異談 生きてゐる小平次』上映後
ゲスト:鈴木健介監督
【上映作品】
『鬼姫しぐれ』『青ヶ島の子供たち 女教師の記録』『旗本喧嘩鷹』『毒婦高橋お伝』『地獄』『「粘土のお面」より かあちゃん』『當り矢金八捕物帖 千里の虎』『夏目漱石の三四郎』『風雲急なり大阪城 真田十勇士総進軍』「『御用唄鼠小僧』撮影風景(参考上映)」『八百万石に挑む男』『雷電』『続 雷電』『恋すがた狐御殿』『亡霊怪猫屋敷』『私刑〈リンチ〉』『怪談累が渕』『右門捕物帖 片眼狼』『女吸血鬼』『妖艶毒婦伝 お勝兇状旅』『虞美人草』『東海道四谷怪談』『右門捕物帖 緋鹿の子異変』『女死刑囚の脱獄』『憲兵と幽霊』「『東海の顔役』撮影風景(参考上映)」『怪異談 生きてゐる小平次』『番場の忠太郎』
【料金】
一般…1,200円 シニア・学生…1,000円 会員…800円 3回券…2,700円
※水曜サービスデー…1,000円均一
…と盛り沢山な内容故にラピュタ阿佐ヶ谷の特集上映だけでもずいぶん長くなってしまったが、
ここからは今年の酒豆忌に関してのお知らせだ。
今年は作品に関しては、ラピュタ阿佐ヶ谷でのフィルム上映を思いっきり堪能してもらうということで、
酒豆忌の会場での作品の上映こそ行わないが、酒豆忌らしい企画を開催する予定だ。
まずラピュタでの特集上映でも一部参考上映する、
市川右太衛門プロダクション(右太プロ)時代の中川監督の撮影現場風景(早稲田大学演劇博物館 所蔵)を、
こちらではロングヴァージョンかつ、酒豆忌実行委員会・長谷川による解説付きで上映。
普通に見ていると気がつき難い意外な顔ぶれも紹介してくれるとのこと。
そして、中川作品関係者による“中川信夫監督を偲ぶ集い”として始まった“酒豆忌”が、
2000年に一般にオープンな集いとなってから今年で15年ということで、過去のゲスト映像等を交えつつ、酒豆忌の歴史を振り返るコーナーも開催。
勿論、中川組スタッフの方々による、貴重なトークも聞けるはずだ。
この他会場では、中川作品のスチールに、監督の詩を配した限定ポストカード・セット等の物販も行う。
なお、中川家私家版として刊行されたものを酒豆忌実行委員会で復刻した『中川信夫詩集 業(ごう)』は、特集上映期間中はラピュタ阿佐ヶ谷ロビーにて販売している。
なお、酒豆忌の参加費は3000円(ラピュタ阿佐ヶ谷の特集上映とは別となる)。
当日は途中退場も可能なので、ラピュタで作品を鑑賞して、再び酒豆忌に戻ったりと、それぞれのご都合で楽しんでいただきたい。
以下、「酒豆忌」実行委員会の正式告知より。
****************************
●酒豆忌(中川信夫監督を偲ぶ集い)のお知らせ
酒と豆腐をこよなく愛したわれらがカントク中川信夫さんを偲ぶ集い「酒豆忌」を、今年は下記の通り行います。
本年は中川監督の生誕110年となります。
この節目の年ふさわしく、ラピュタ阿佐ヶ谷様のご協力により中川監督の特集上映を行い、合わせて酒豆忌会場をご提供頂ける運びとなりました。
今年の酒豆忌では、恒例の交流会だけでなく様々な企画を検討しています。
その一例として早稲田大学演劇博物館様所蔵の映像をお借りして、「中川信夫監督と市川右太衛門プロダクション」のテーマで上映と解説を行う予定です。
右太衛門氏旧蔵の映像も交えて、デビュー前後の中川監督と右太プロの実像に迫りますので、ぜひご参加ください。
時間は30〜40分程度を予定しています。
ラピュタ阿佐ヶ谷様とは2006年以来となりますが、前回にもまして規模も内容も充実したものとなりました。
特集上映の作品の中では、永らくフィルム上映の機会が無かった『妖艶毒婦伝 お勝兇状旅』が皆様よりご協力頂いた結果、ニュープリントが叶い上映することになりました。
ご協力頂いた皆様にはあらためて御礼申し上げます。
また、残念ながら上映素材は失われていますが、早稲田大学演劇博物館様のご協力により『東海の顔役』『御用唄鼠小僧』の撮影風景映像を参考上映します。
中川監督の演出シーンが撮影されている貴重な映像です。
今回の特集上映ではこの参考上映2本と、ニュープリントを含めた26作品を上映します。
また、中川監督ゆかりのゲストによるトークショーも予定しています。
中川監督の作品世界を堪能するまたとない機会です。酒豆忌と合わせて楽しんで頂けたらと思います。
記
◆日 時
2015年9月13日(日) 14時30分より
◆会 場
ザムザ阿佐谷(ラピュタビル地下1F)
03-5327-7640
東京都杉並区阿佐ヶ谷北2-12-21
◆会 費
3,000円
香川京子、桂千穂、北沢典子、坂下正尚
瀬川昌治、鈴木健介、矢代京子、渡辺宙明
以上幹事一同
「酒豆忌」実行委員
伊藤範子、岩畑雄一朗、川鍋かつら、下村健、高木美貴
高橋洋、長谷川康志、原口和也、宮田晴夫(殿井君人)、横山俊雄
連絡先 「酒豆忌」事務局 鈴木健介
TEL 03-3480-5148
FAX 03-3480-9687
2015年8月8日
※お申込、お問い合わせは、
下記の公式facebookイベントページにメッセージ、もしくはメール vzg03213あっとにふてぃ.com(ひらがな部分を@niftyに変えてください)にてお願いします。
殿井が承ります。
▼2015年酒豆忌(中川信夫監督を偲ぶ集い)
****************************
以上!ヨロシクね♪
]]>昼の部では、テレビ版は子供たちの8割が視聴し、
夏の風物詩としてすっかり定着指定し、
鶴田自身もライフ・ワークとして自認する『ほんとにあった怖い話』の原点である
オリジナル・ビデオ版3部作
『ほんとにあった怖い話』、
『ほんとにあった怖い話/第二夜』、
『新ほんとにあった怖い話/幽幻界』を一挙に上映し、
上映後には女優・林田沙希絵がMCを務め鶴田によるトークショーも行われた。
OV版『ほんとにあった怖い話』シリーズは、
和光大学を卒業しビデオ・メーカーに勤務し、商業作品では現場経験のなかった鶴田が、
大学4年の夏に撮影をはじめた自主製作短編『トネリコ』を名刺がわりに持参して、
当時の原作の版元朝日ソノラマから原作権を得て、
同じく製作元のジャパン・ホーム・ビデオに企画を持ち込んで、
91年から92年にかけて製作されたという、まさに鶴田自身が生み出した作品だったとのこと。
観客からのQ&Aの際にはシリーズ1作目・2作目と3作目のテイストの違いについての質問が出たが、
これは自信作であった2作目が当時セールス的には1作目ほどには振るわなかったので、
あえてリアルなショッカー・タイプの作品を狙ってみたとのこと。
鶴田監督
「ただその後、『霊のうごめく家』は黒沢清監督や高橋洋さんら錚々たる方々からも評価をいただいているので、
評価というのはすぐその場で出てくるものではないですね」
そんなシリーズ最恐との評価も高い『霊のうごめく家』だが、
撮影時にはロケに使った家屋で、実際にスタッフやキャストが不可思議な体験をしていた話も披露され、
またその場で直接何かを見たわけではない鶴田自身も小学生時代にいるはずがないものを見たことがあるという。
「でも見た瞬間は、なんとも思わなかったんです。
それが後になってから、ぞっとしてきて。
そうした体験があって、『ほん怖』では役者さんに、怖いです!っていう芝居はやめてもらうようにしてるんですよ。
『霊のうごめく家』でも母親が振り返るとそこに人影があってという場面を撮る際に、
女優さんは最初驚く芝居をしてきたんですが、それはやめてじっと見てくれと。
それで2テイク目を撮った際に、彼女が凝視している姿にカットをかけたくなくなってしまい、
彼女もどうしようかな?みたいな感じが出てきた最後の方の部分を編集で使ってみたんです」
そう、『ほん怖』の恐怖演出には、そんなリアルな裏付けがあったのだ。
そして、この記事がアップされる8月29日21時から放映される、
テレビスペシャル版最新作となる土曜プレミアム『ほんとにあった怖い話・夏の特別編2015』の会場だけの特別予告編も披露。
(C)フジテレビ
今回も豪華キャスト陣による全6話が放映されるが、
その中の一編で観月ありさ主演の『奇々怪々女子寮』は、
数年前に原作を読んだ時に
「これは女性版『霊のうごめく家』になる」(鶴田)
と感じ、数年来温めて来た作品とのことで、期待が高まる。
そして夜の部では、貴重かつ“グローイングアップ映画祭〜鶴川ショートムービーコンテスト”らしいサプライズ上映後に、
劇場公開近作にして鶴田の幻想ドラマとしての一つの到達点ともいうべき『トーク・トゥ・ザ・デッド』の上映と、
岡村洋一がMCをつとめ、鶴田と同作に出演した女優・桜井ユキによるトークショーが開催された。
死者と通話できるアプリを題材にした同作は、
出資元の希望によりヒロインたちの職業をデリヘル嬢にしたことから、
ヒロイン役の小松彩夏以外は想定していた女優から出演を断られ、
それならオーディションでということになり、
もう一人の重要なキャラクターである残念なデリヘル嬢マユを射止めたのが、当時まだ新人だった桜井ユキなのだ。
「最初に本読みをしてた頃は、頭のいい子がキャラクターを作ってる感が強かったんですが、
本人から直接相談したいと電話をもらって、面倒くさいな(笑)と思いながら会って話をし、
その後現場で再会したら全然変わってました。
現場では、撮影中じゃなくてもマユそのものになってたね」
と、その“カメレオン女優”ぶりを絶賛する鶴田。
その発言を裏付けるように、近年は『リアル鬼ごっこ』等の園子温監督作他出演作が目白押しで、
「忙しくなっちゃって」と鶴田にこぼされる桜井だが、
土曜プレミアム『ほんとにあった怖い話・夏の特別編2015』で久々に鶴田監督作品に出演しており、
「本当に久しぶりに鶴田監督の現場に帰って来れて、ほっとした気持ちでした」
と感想を語った。
因みに観客からのQ&Aで、演じてみたい役柄を尋ねられた桜井の答えは
「殺人者を演じてみたいですね、連続殺人がいいです」
これに対して鶴田も
「桜井で殺人者を撮りたい」
と意欲を見せる。
もしかしたら、近々最恐の殺人ヒロインが実現するかも?!
なお今回放映される新作『ほん怖』では、MCをつとめた岡村も、
斉藤工演じる警官に取り調べを受ける無銭飲食犯役で出演しているとのこと。
そんな岡村から、作品で恐怖を描き続けることに関して問われた鶴田は
「こどもの頃に怪談噺をして楽しかった記憶を映像化したものですね。
ただ最近の世の中は、恐ろしい事ばかりで、そうしたことに出くわしてしまうことは残念ながらある。
その時に恐怖に対する耐性を…というのもありますし、
それらにどう折り合いをつけていくか考えておかないといけない部分はある。
また恐怖の中ゆえに人間の業を感じさせる部分があったり、情といったものも描ける。
そうしたものを、恐怖を通じこどもたちにわかりやすく見てもらうことを目指しているのが『ほん怖』なんです」
と語った。
なお、今回の特集上映を主催した“グローイングアップ映画祭〜鶴川ショートムービーコンテスト”では、
9月30日までショートムービーコンテストの作品を募集中だ。
作品の応募要件は、上映時間が15分以内のオリジナル作品であることのみで、
応募作中一次審査を通過した作品は、11月10日から21日に和光大学ポプリホール1Fのカフェマーケットにて上映され、
来場者による投票により各賞を決定し、11月23日にポプリホールにて授賞式が行われる。
J−ホラーの始祖鶴田が商業処女作OV版『ほん怖』を撮るきっかけとなった作品が、自主製作の『トネリコ』だったように、
これを読む貴方が出品する作品がこれからの貴方の未来を大きく変える可能性もあるのだ。
我もと思う映画ファンは、こちらのコンテストにも挑戦して欲しい。
▼土曜プレミア『ほんとにあった怖い話・夏の特別篇2015』
2015年8月29日(土)21:00〜23:10 フジテレビ系全国ネットにて放映
朝晩の空気には気持ち秋の気配が混じりながらも、
日中はまだまだ酷暑続きの今日この頃を快適に過ごすには,
やっぱりホラーを観て心胆寒からしめるにつきますな…
いや、お前はそれ夏だけじゃないだろ!というツッコミはおいときますよ(苦笑)
そんなわけで、日本の夏、怪談の夏あらため
J−ホラーの夏を代表するテレビ・スペシャルとして99年に登場して以来、
日本の夏の風物詩としてお茶の間にもすっかり定着した
『ほん怖』こと『ほんとにあった怖い話』シリーズ16年目の最新作、
土曜プレミアム『ほんとにあった怖い話・夏の特別編2015』が8月29日(土)21時からフジテレビ系全国ネットでオンエアされる。
今回もSMAPの稲垣吾郎のナビゲートでスタジオの“ほん怖クラブ”のメンバーたちと共に、
様々な怪異をシリーズの生みの親にして、
J−ホラーの始祖・鶴田法男監督による再現ドラマ(今回鶴田は5篇を演出)で追体験するオムニバス形式の構成。
そしてゴールデン・タイム枠の番組に相応しい豪華なキャスト陣にも注目だ!
]]> 「ホラー作品は苦手」と公言するKis-My-Ft2の玉森裕太がホラーに初挑戦したエピソード『どこまでも憑いてくる』は、翔太に好意を寄せる幼馴染に鶴田監督作品『おろち』でタイトル・ロールを演じた谷村美月、
翔太の母を実力派女優でありやはりボクラの世代的には永遠のアイドルである伊藤蘭が演じている。
また先頃著書『火花』が芥川賞を受賞したピースの又吉直樹の受賞後初出演作品となるのがエピソード『つきあたりの家族』で、
又吉は同じアパートに住む家族の秘密を暴いてしまった独身料理店主として格別の恐怖を体験することになるようだ。
この他にも懐かしの『超少女REIKO』に主演して以来24年ぶりのホラーとなる観月ありさ、
『虎影』の斎藤工、
こちらの読者的にはシンケンピンクでお馴染み高梨臨、
『劇場版 零〜ゼロ〜』の中条あやみ
といったジャンル・ファン的にも嬉しい顔ぶれが主演する4篇とあわせ、
ヴァラエティに富みかつ粒揃いの全6篇からなる恐怖譚が厳しい残暑を忘れさせてくれること請け合いだ!
そしてこの最新作放映に先立つ8月24日(月)には、
“グローイングアップ映画祭〜鶴川ショートムービーコンテスト”のプレイベント・月イチ映画上映会の第6弾として、
“夏休みホラースペシャル”と銘打ち、
鶴田法男監督の初期&近年の代表作の特別上映とスペシャル・トークショーを、
鶴田監督の母校であり“グローイングアップ映画祭〜鶴川ショートムービーコンテスト”を応援する
和光大学のポプリホール鶴川で開催する。
料金もその充実した内容にも関わらず、
昼の部・夜の部それぞれ各500円、両方観ても1000円と実にリーズナブルなのだ。
12時30分開映の昼の部では、鶴田の商業監督デビュー作で、テレビ版のオリジンとなった
OV版『ほんとにあった怖い話』(91・92)三部作が一挙上映される。
テレビ版から遡ること8年前に製作されたこの三部作は、
心霊実話OVジャンルの先駆けであることに留まらず、
その卓越した恐怖演出が多くのクリエイターに影響を与え、
今日のJ−ホラー・ムーブメントの礎を築いた作品である。
そして三部作全10話からなるエピソードには、
2010年に放映された大島優子主演の『赤いイヤリング』など、
後にテレビ版でリメイクされたものも複数含まれている伝説の作品だが、
現在このOV版はかつてリリースされたビデオ版、DVD版とも生産が終了しており、
鑑賞するのはなかなか難しくなっている。
それを一挙に大スクリーンで観れる、貴重な特別上映なのだ。
作品上映後には、鶴田によるスペシャル・トークショーも開催される。
そして17時30分開催の夜の部では、こちらでも二年前の劇場公開時にレビュー&初日舞台挨拶レポートを掲載した『トーク・トゥ・ザ・デッド』が上映される。
こちらは、死者と交信できるアプリを題材に、
J−ホラー的表現を用いながら死者と相対することになる生者の想いに重きをおいた怪奇幻想ドラマとなっており、
その哀しみに満ちた怪奇テイストは是非スクリーンでこそ味わいたい逸品だ。
そしてこちらのトークショーでは鶴田に加え、
本編中では残念なデリヘル嬢木島マユ役を好演、
今年は三池崇史監督の『極道大戦争』、
園子温監督の『リアル鬼ごっこ』など出演作の公開が続き躍進著しい、
女優の桜井ユキが登場するのも見逃せない。
というわけで8月後半は、『ほん怖』の原点をスクリーンで、
そして最新作をテレビで観て、J−ホラーの歴史と進化を味わってみてはいかがだろうか?
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◎土曜プレミア『ほんとにあった怖い話・夏の特別篇2015』
2015年8月29日(土)21:00〜23:10 フジテレビ系全国ネットにて放映
▼ほんとにあった怖い話 - フジテレビ
◎月イチ映画上映会第6弾 夏休みホラースペシャル
和光大卒・鶴田法男監督作品集
開催日時:2015年 8月 24日(月)
会場:和光大学ポプリホール鶴川
★昼の部 開場:12:00/開演:12:30/入場料:500円
【上映作品】
『ほんとにあった怖い話』(1991年・3話オムニバス)
第一話『ひとりぼっちの少女』、第二話『幽体飛行』、第三話『赤いイヤリングの怪』
『ほんとにあった怖い話/第二夜』(1991年・3話オムニバス)
第四話『夏の体育館』、第五話『霊のうごめく家』、第六話『真夜中の病棟』
『新ほんとにあった怖い話/幽幻界』(1992年・4話オムニバス)
第一話『婆去れ!!』、第二話『踊り場のともだち』、第三話『かなしばり』、第四話『廃屋の黒髪』
【SPトークショー】
鶴田法男監督
★夜の部 開場:17:00/開演17:30/入場料:500円
【上映作品】
『トーク・トゥ・ザ・デッド』(2013年)
【SPトークショー】
鶴田法男監督、桜井ユキさん、MC:岡村洋一さん
▼グローイングアップ映画祭 鶴川ショートムービーコンテスト 2015
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]]>部長の牧村と先輩のリリという二人からなる部の活動は、心霊写真の鑑定・調査を行うこと。
そう、そこは心霊写真部だったのだ。
三人は写真部のサイトに送られてくる心霊写真の撮影された現場に赴き、様々な怪異と対峙しながら写真に秘められた謎に挑んでいく。
そんな佳夕の前に現れ、超常現象のヒントを与える謎めいた少女。
その一方で、死体を残さずぞの凶行の写真を送りつける、マスク殺人鬼の影が佳夕たちにも迫っていた…
『心霊写真部』は、2010年にそれぞれ3話構成からなる“壱限目”“弐限目”の2本のシリーズとしてリリースされたOVホラー作品。
リリース当初は一部のマニアをのぞくとさほど話題にならず、様々な謎を投げかけたままシリーズは休止していた。
だが近年口コミで徐々に人気が高まり、
特にニコニコ生放送のホラー企画“ニコニコホラー百物語”では、13年・14年と2年連続でユーザー・アンケートのトップに輝いた。
そして新作を望む声は高まり、クラウドファンディングでも多数の支持者を得て、
5年ぶりに劇場用新作として復活したのが、
5月30日より公開中の『心霊写真部 劇場版』なのだ。
原作・脚本は、OV版でも原作・脚本を兼ね、
また以前にこちらで紹介した『心霊病棟 ささやく死体』では監督も兼ねたマルチ・ホラー・クリエイターの福谷修、
そして監督も『こっくりさん 劇場版』等の永江二朗がOV版から続投している。
主要キャストは基本線ではOV版とは変わっており、
佳夕役はガールズ・ロック・ユニット PASSPO☆の元メンバーで、『仮面ライダーウィザード』のコヨミ役でお馴染みの奥仲麻琴が、
好奇心旺盛だが自身の霊感に戸惑うヒロインをナチュラルな演技で魅せてくれる。
そんな佳夕の前に現れ、心霊現象に関する様々な示唆を与える謎めいた少女・玲花には、
福谷の前監督作『心霊病棟 ささやく死体』でも望むと望まざるに関わらず全てが見えてしまう
車椅子の少女アリサを演じていた谷内里早が、ミステリアスさにさらに磨きをかけ、
物語の鍵となる役どころを存在感たっぷりに好演。
心霊写真部のリリ先輩役は『トイレの花子さん 新劇場版』の上野優華、
そして牧村部長役はOV版からの唯一の続投キャスティングであり、
『特捜戦隊デカレンジャー』の伊藤陽佑が、なんとシャワー・シーンも披露しているので、女性ファンは必見だぞ。
野郎的には、これってどうなんだ?とか思ったものだが、これは実際にニコ生のファン・アンケートの結果により追加されたシーンとのこと。
今回の劇場版は、主要キャストは前述どおりで牧村部長を除きOV版から変わっているが、物語的にはOV版の完全な続編。
そういう意味では、OV版を観ている方がより深く作品を楽しめるが、
冒頭でOV版のあらましと投げかけられた謎についてを見せてくれるので、
本作がはじめての方でも一本の作品として楽しめる作りになっている。
劇場版もOV版同様の3話オムニバス構成で、
“エンジェルさま”が写った写真に関する1話では、
ニコ動視聴者には別名“痙攣部”として知られる作品らしく、
部長とリリさんが憑かれての痙攣場面でシリーズ・ファンの心を掴むと同時に、予想外の展開には結構意表をつかれる。
続く第2・3話で、いよいよこれまで各エピソードに散りばめられて来た謎とその核心に迫るものとなっており、
第2話では30年の由緒正しき?歴史を誇る心霊写真部の創成期と謎の少女・玲花の関係が明らかになり、現在の事件と謎がリンクしていく。
そして第3話では遂に佳夕たちはマスク殺人鬼と対峙することになり、
心霊写真部の面々は精神的にも肉体的にも過酷な試練を受けることになる。
当然ホラー作品なので、これまでだって様々な怪異に遭遇してきた面々なわけだが、
そんな彼らを見守ってきたファンにとっても、かなり衝撃的かつ予想外のものとなっているはずだ。
『善悪の彼岸』の一節を思い起こさせるような状況下での、玲花が、そして佳夕が宿命と戦う姿は哀しくも感動的だ。
ミステリアスなストーリーテリングの妙と、容赦なく主人公を追い詰めるスタイルは、
『心霊病棟 ささやく死体』や小説としての前作『鳴く女』と同様福谷ホラーの醍醐味なのだ。
なお、昨年刊行された福谷の『鳴く女』は、
幻の化け猫映画の行方を追う放送作家が、ミステリアスな怪異と凄惨な殺人事件に巻き込まれる
というホラー小説で、これまた結末の悲惨さでは本作以上のカタルシスが味わえる。
と同時にかつての怪談映画(中川信夫に関しての言及も勿論あり)や、
ジャンク・ビデオ狂乱時代とその立役者のその後(その筋が好きな方にはモデルは一目瞭然)、
そして幻のフィルム(『探偵!ナイトスクープ』でとりあげられた『シェラ・デ・コブレの幽霊』への怪奇ファンの熱狂から想を得たそうです)を巡ってのあれこれなど、
映画周辺にからむあれこれのネタが、ストーリーと不可分な形で練り上げられた、
まさにホラー映画ファンのための一冊になっている。
鳴く女 (TO文庫) | ||||
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本作及び原作の『Re:心霊写真部』と併せて、未読の方には一読をお薦めする。
***********************************
『心霊写真部 劇場版』
2015年/日本/102min
制作・宣伝・配給:キャンター/配給協力:ダブルアップエンタテインメント
2015年5月30日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、6月6日(土)よりシネ・リーブル梅田 他全国順次公開!
(C)2015福谷修/「心霊写真部 劇場版」製作委員会
***********************************
]]>番組スタッフは英国でトップ・クラスの優秀な学者等の連続失踪事件“頭脳流出問題”の謎を追う過程で、
アメリカ=ソ連の二大大国が秘密裏に進めていた陰謀“第3の選択”に辿り着く。
それは激変し人類の生存に適さなくなりつつある地球から、選ばれた一握りの人間を火星に移住させることで、人類という種を存続させようとする恐るべき計画であった!
…というのが、英国では77年4月1日放送とクレジットされた『第3の選択/米ソ宇宙開発の陰謀〜火星移住計画の謎』(以下『第3の選択』)だ。
英国本国では初放映時に視聴者をパニックに陥れ、日本でも二度目の放映となった『木曜スペシャル』枠でのオン・エアでは、
独自に再編集した上でドキュメンタリー作品と喧伝され大きな反響を呼び、熱心なファンの支持を得た。
そんなフェイク・ドキュメンタリーの先駆であり、Jホラーの起源とも言われる作品が、
初放映から40年近くを経て今年の1月30日に初DVD化され、旧作としては異例のヒットとなっている。
その一方で、フェイク形式で実は真実を暴いているとも囁かれてきた“ヤバイ”作品らしく、早くも発禁処分?の噂も流れているらしい。
去る4月1日に本作のVD発売を記念して、
“4.1緊急大討論!やはり『第3の選択』は真実だった!? DVDが発禁処分か!?”
と題したイベントが開催された。
▼ 『第3の選択』DVD発売記念イベント開催決定! - YouTube
鶴田が蒐めた当時の記録資料や関連映像等を交えつつ、問題作の魅力と真相に迫った。
鶴田が提示した当時の記録によれば、
『第3の選択』は78年にフジテレビの深夜枠で初放映され、この時は新聞のラテでは「ニュースショーの形で描くSFドラマ。
イギリスの民放局で製作」と明確に記されている。
しかしこれが、82年に矢追純一がディレクターをだった『木曜スペシャル』枠でゴールデンタイムに放映された際には、
なんと「BBC放送製作の科学ドキュメンタリー」となっている。
こうして第2回放映の視聴者の大多数には、本作は事実の記録として受け取られることになったのだ。
59年生まれの夏原は、アダムスキーに端を発するUFOブーム世代で、こうしたジャンルにはこどもの頃から興味を持っていたという。
「18歳頃にたまたま深夜放送で見た『第3の選択』は、ホントなのか?嘘なのか?ということよりも、番組自体がすごく面白いと思った。
その後、矢追さんの『木曜スペシャル』版を見て、二十歳過ぎで非常に愚かなんだけど「やっぱりそうだったのか」みたいなことを、正直思ってしまった。
作品としては、細かな部分まで内容を練ることとあわせてエンターテイメントを追求していたからこそ、今観ても興味深いし衝撃的なのだと思う」
とコメントした。
一方、『木曜スペシャル』版が初見だったという田野辺は、放映翌朝の学校でクラスメイトや担任の教師から作品の真偽を訊ねられたエピソードを披露。
「オーソン・ウェルズのラジオ・ドラマ『宇宙戦争』がアメリカでパニックを起こしたことは知識では知っていたが、まさか自分たちが『第3の選択』で同じようなことを学校をあげてやっていたとは。
今から思うと、ウェルズも矢追さんも偉いなということが言えるのではないかと。
当時“ノストラダムスの大予言”等で、99年で世界は終わりだというのが皆の中であった中で、頭のいい奴だけが火星で生き残れるというのは衝撃的で、現在の格差社会を予兆させるような厭なテイストがジワジワでていた」
と語り、その部分の印象の深さを強調。
今回のイベントにあわせて『第3の選択』を初めて観たという木嶋も
「私もそこで一番衝撃を受けました。誰が選ぶの!って」
と、初見世代でも変わらぬ作品の衝撃をアピールした。
また『第3の選択』という作品が、ホラー、フェイク・ドキュメンタリー、他ジャンル等に及ぼした影響を鶴田が作成した年表で検証。
Jホラーの先駆的OV作品である石井てるよし監督作品『邪願霊』から、実際にフェイク・ドキュメンタリーとして製作することも検討していたという鶴田の初期傑作OV版『ほんとにあった怖い話』、オマージュ要素もこめられた『POV〜呪われたフィルム』等に関するエピソードも披露された。
ところで、発禁の話にもふれておくと、『第3の選択』がリリースされた今年の1月前後から、火星に関する報道等が急に目に付くようになっことに読者諸氏はお気づきだろうか?
イベント当日には、1月19日になんと11年前に行方不明になった火星探査機ビーグル2が、火星のイシディス平原で発見されたというニュースが披露され、
本イベント開催後の4月14日には、火星の地表に「塩水」があるかもしれないという研究発表のニュースが流れた。
いずれも、人類の科学的な挑戦の記録ではあると同時に、現時点では不毛な惑星としての火星をあらためて強調するものでもある。
これは、約40年ぶりにソフトとして復活した『第3の選択』で描かれていた“真実”を、あくまでフィクションにおとしこむための情報操作なのではないだろうか?
そしてこの操作がうまくいかなければ、このソフト自体の存在も…!?
…という話の真偽は兎も角、ソフトというものは出た時に入手せずにいると、意外とすぐに入手困難になるというのは、筆者自身も日頃から身に染みて感じている真実だ。
それは復活したばかりの、ジャンルの記念碑的作品でもまた然り。
当時作品に衝撃を受けた方は勿論、興味はあってもまだ『第3の選択』を観たことがない方は、急いで入手しておいた方がいいだろう。
もしかしたら、明日にもこの世界から抹消されているかもしれないのだから…
第3の選択/米ソ宇宙開発の陰謀~火星移住計画の謎(初回限定生産) [DVD] マクザム 2015-01-30 by G-Tools |
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『第3の選択/米ソ宇宙開発の陰謀〜火星移住計画の謎』
ALTERNATIVE 3
1977年/イギリス
製品仕様:カラー/4:3 スタンダード ほか/片面1層/本編 約52分+特典 約48分/字幕:1.日本語吹替用字幕 2.日本語字幕/音声:1.日本語吹替〈ドルビー・デジタル・モノラル〉 2.オリジナル英語〈ドルビー・デジタル・モノラル〉
特典映像:メイキング、ティーチイン
2015年1月30日よりDVD発売中!
発売元:「第3の選択」発売委員会/販売元:株式会社マクザム
(C)1977 ANGLIA PRODUCTION ALL RIGHTS RESERVED.
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カナザワ映画祭。
文字通り石川県金沢市で毎年9月に開催されている映画祭で、
そのテーマの尋常でなさが全国から映画の好事家達を集めることでも知られています。
2007年から始まり、
8回目の今年の「カナザワ映画祭2014」はテーマが爆音上映。
通常の映画の音響設備ではなく、
音楽ライブ用の設備を使用した、大音量の上映で映画を観よう
という
「スクリーンでなければ出来ない映画の楽しみ」
にこだわるカナザワ映画祭のいわば王道とも言えるコンセプトです。
でかい画面で見てこその映画の醍醐味。
その醍醐味に見合ったプログラムの数々(と上映の合間に食べられる美味しい食事の数々)が魅力のカナザワ映画祭。
少し時間が空いてしまい恐縮ですが、前回2014年9月のレポートを2回に分けてお送りします。
寒いですが、熱気はむんむんの映画祭レポートはじまり、はじまり!
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今年も又カナザワ映画祭の季節が来ました。
今回の「カナザワ映画祭2014」はテーマが爆音上映。
通常の映画の音響設備ではなく、音楽ライブ用の設備を使用した、
大音量の上映で映画を観よう
という「スクリーンでなければ出来ない映画の楽しみ」にこだわるカナザワ映画祭のいわば王道とも言えるコンセプトです。
さて、私は映画祭二日目の9月12日(土)の昼頃、金沢に到着しました。
来年の北陸新幹線開業を控え、駅前にも巨大な垂れ幕が下がっていますね。
早速腹ごしらえということで、金沢駅から徒歩五分ほどの古民家ダイニングバー「ノーサイド」で、
金沢B級グルメの代表「ハントンライス」をいただきます。
ここ数年は毎年金沢に来ているので、このハントンもあちこちで食べていますが、
いつも食べていた「がっつり!こってり!」なものとは一味違うおしゃれな感じの白身魚フライの乗ったハントンでした。
さて、映画を観る前にまず会場へ行って、チケットの確保です。
会場は毎度お馴染みの金沢都ホテルの地下劇場(正確には、セミナーホール)ですが、
今年から少しシステムが変わり、チケット販売サイト「peatix」で購入することになりました。
購入後はスマホに専用アプリをダウンロードして窓口で表示するか、
ウェブ上で購入画面をプリントアウトして、
その画面のバーコードを窓口でスキャンしてもらって確認するという方法をとります。
私の場合は、プリントアウトした画面を窓口へ持って行きました。
初めてのシステムなので、どうかなと思いましたが、スムースに確認終了。
駅前で開催していた「金沢ジャズ・ストリート」のジャズ・バンドのライブなど聴きながら、
ちょっと一服して、最初の鑑賞作品に行きましょう。
午後4時からの『U・ボート』(1981)です。
潜水艦映画の金字塔ですが、今回上映されるのは二時間強の劇場公開版ではなく、
三時間半ある「ディレクターズ・カット」版です。
▼ディレクターズ・カット版の予告編
元々、この作品は西ドイツ(当時)のTVドラマ(ミニシリーズと呼ばれる、長時間スペシャルドラマ)として企画され、
完全版は実に約五時間(!)あり、80年代にはドイツやオーストリア、イギリスなどではTVで放映されました。
その後、監督のウォルフガング・ペーターゼンが自ら編集し直した「ディレクターズ・カット」版が1997年に登場し、
今ではDVDやブルーレイもリリースされています。
五時間版よりも短いとは言え、上映三時間半という事で途中に10分間の休憩も挟みます。
映画館で休憩入れながら映画観るなんて、今時珍しいですね。
90年代に、『七人の侍』(1954)のリマスター版の上映で五分間の休憩があったことを思い出します。
開場30分ほど前に会場で並ぶと「カナザワ2014 Das Boat新聞」という壁新聞が張ってあり、
何と!金沢出身のUボート艦長がいたという驚きの歴史的事実を紹介しています。
こういう、ご当地ネタで楽しませるところが地方発の映画祭の味わいですね。
いよいよ上映始まり始まり?。内容は言わずもがなの名作ですから、気がついたシーンなど中心に紹介しましょう。
開始と共にいきなり追加シーンが登場。
Uボートに新しく赴任する艦長が車で港に向う途中に泥酔した乗組員達に遭い、
何と沿道から車に小便(!)をかけられる手洗い歓迎を受けます。
そして、続く士官用クラブでの出撃前の宴会シーンも追加シーンでした。
Uボートの乗組員(のみならず、戦闘に参加する軍人は皆)は、出撃したら生還出来る保障などありません。
だから、これが最後かもしれないと乱痴気騒ぎをするのです。
そして、出撃。劇中、Uボートはほとんど浮上して航行しています。
第二次大戦当時の潜水艦は、基本的に浮上して航行し、敵艦を攻撃したり、敵から隠れる時しか潜航しませんでした。
何故かというと、当時の潜水艦の推進機関はディーゼルと電気の二本立て(今風に言うとハイブリット?)。
水上では酸素を燃焼するディーゼルエンジンで航行し、その間に動力の一部でモーターを回して蓄電。
潜航する時には電気推進に切り替えて、密閉された空間である潜水艦内の酸素を動力機関で消費しないように行動していました。
戦後になって、原子力潜水艦が実用化されるまではこれが潜水艦の現実だったのです。
この映画の中でも、敵に発見されて潜航しようとすると、機関兵の台詞に「E機関が動きません」という字幕が出ます。
これは状況からすると、要するに「電気機関」という意味だと推察されるので
「モーターが動きません」と表記した方がわかり易いかもしれませんね。
潜航用モーターが動かないので、潜航出来ません(無理にディーゼル推進で潜航すれば艦内はすぐに酸欠になって、乗員全滅)、という意味なのでしょう。
この映画を観ているとつくづく思いますが、潜水艦の任務は忍耐の連続です。
水が少ないので髭も剃れない、風呂など夢の又夢。
艦内に冷蔵庫など無い時代ですから、積み込んだ食料も段々腐っていきます。
映画だからわかりませんが、当時の潜水艦の艦内はいつも異臭が立ち込めていたそうです。
そして、訓練と警戒に神経をすり減らす日々が続きます。
加えて、潜水艦は敵艦に見つかると潜航して隠れるしかありません。
攻撃することも可能と言えば可能ですが、機動力に劣る当時の潜水艦が水上艦との真っ向勝負は困難な事でした。
爆雷など投下されれば、逃げるか耐えるかしかありません。
潜水艦映画にはつきものの、敵艦に発見されて爆雷攻撃を受けるシーンでは、
この映画祭ならではの爆音上映の効果が発揮されました。
水中で爆発する爆雷の腹に響くような重低音が大音量で響き、何度も何度も続くので段々耳鳴りもしてきます。
きっと、実際の潜水艦の中はもっと凄い音だったんだろうなぁ、という感慨も沸きます。
そして、爆雷から逃れるために潜航深度を超えた海底へと向うと、船体が水圧でミシミシと軋みます。
この金属がこすれ合う、何とも不快な音も爆音上映のお陰で耳にねじ込まれるような勢いで聴こえてきます。
▼雷撃シーン!
それから、やっぱりジブラルタル海峡を突破しようとして、
イギリス軍の攻撃で海底に着底してしまうシーンのジリジリとした緊迫感。
乗組員の必死の努力で機能回復した艦で
「いい部下を持った俺は果報者だ」
と涙を流しながら浮上に賭ける艦長は何度観ても感動しますね。
この一連の描写があるから、浮上して波を切り裂きながら全力航行するUボートの艦橋で艦長が
「今度はお前ら(英軍)の餌食になるものか!」
と絶叫する姿にゾクゾクするようなカタルシスが生まれるのです。
ところで、多くの戦争映画ではUボートは悪役です。
冷酷なドイツ兵が乗っている不気味な潜水艦というイメージがステロタイプなところですが、
当然ながら戦争では味方も人間なら、敵も又人間。それぞれの人生があります。
この映画の一番の見どころはやはりリアルな潜水艦内での乗組員達の暮らしぶりもさることながら、
日頃は悪役としてしか認識されないUボートの中に、
戦争に疲れて戦いに疑問を持つ者、
祖国の勝利を信じて戦う者、
故郷に残した妻を気遣う者、
恋に落ちたフランス女性との関係に不安と期待が交錯する若者など、
様々な人間模様が描かれているのも注目したいところです。
特に印象深いのは、攻撃して炎上している敵の輸送船を確認するシーンでした。
炎から逃げ惑う乗組員を見て、Uボートの乗組員達が
「英軍の奴ら、救助しなかったのか」
と苦渋の表情を浮かべています(救助するのも危険だし、潜水艦には収容するスペースも無い)。
任務として攻撃はしても、別に敵船の乗組員一人一人に恨みや憎しみがあるわけではない、
そんな人間としての葛藤が見える演出でした。
映画に悪役として登場しているUボートにも、こんな人間ドラマがあったのかもしれないと思ってしまいます。
さて、見終わると耳の中がまだ反響しています。まだ一本目だというのに、これから三日間大丈夫かなぁ・・・
夜は駅前のタイ料理店でガバオライスを食べて、会場から徒歩五分のホテルに入り、明日に備えます。
長丁場の映画祭ですから、ペースを保って楽しみたいものです。
さて、次回は、まったり金沢観光をしながら観た、出てくる奴らは全部ワル(どっかで聞いたことある、このフレーズ)な西洋時代劇『フレッシュ+ブラッド』(1985)をお送りします!
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