『女ドラゴンと怒りの未亡人軍団』?この邦題をつけたかった気持ちも納得の女優陣

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『女ドラゴンと怒りの未亡人軍団』
楊門女將 THE LEGENDARY AMAZONS
2011年/中国/85min
配給:日活/配給協力:アンプラグド
2012年4月28日(土)より銀座シネパトス、シアターN渋谷 他にて全国順次ロードショー!
(c)2011 JACKIE & JJ PRODUCTIONS LTD All Rights Reserved

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日本での知名度こそ然程高くはないが、中華圏では『三国志』や『水滸伝』と並ぶ人気を誇り、小説や京劇、映画、ドラマ等の題材として、繰り返し語りなおされてきた実話に基づく一族の戦記物語『楊家将』。

映画版では、72年にショウ・ブラザースが製作した『14アマゾネス 王女の剣』が代表格。

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その最新映像化作品として、ジャッキー・チェンがプロデュースした大作が、本作『女ドラゴンと怒りの未亡人軍団』である。

 11世紀、宋代の中国北縁部は異民族・西夏族の侵攻にさらされていた。
防備の戦に出た楊家の軍勢は敗退し、一族を束ねる将軍・宗保も妻・桂英に送った伝書鳩を最後に消息を絶つ。
嘆き悲しむ楊家の女たち。そうした中、楊家に朝廷からの勅命が届けられる。それは年若く経験もない楊家の嫡男・文広に父に代わって僅かな兵で西夏を討つように命じるもので、それは楊家最後の男子を亡き者にし一族断絶をはかる陰謀だった。
我が子と一族を守るべく桂英は、残された一族の女たちを束ね、我が子と共に戦地に赴くことを決意する。

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 いや実際には登場しない“女ドラゴンは”論外としても(笑)、あたらずも遠からじでも“怒りの未亡人軍団”という邦題はどうよ? と観る前は思ったのだが、豪華でとてつもない女優陣の顔ぶれをみると、これが意外にしっくりくる…というか、つけたかった気持ちはよくわかるわ(笑)。


主人公・桂英に扮するのは、やっぱり『星願 あなたにもういちど』(99)の初々しさが今でも忘れがたいセシリア・チャン。『ラヴァーズ&ドラゴン』(04)等古装篇の出演作もあり、今回は強き母であり、妻であり、何より生粋の戦士という役どころだが、それでも今回の面子の中では可愛いもの。

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桂英の義母・紫太君を演じるのは、中国においては最高レベルを意味する国家第一級演員に認定されており、冷酷無比な“西太后”様であられたリウ・シオチン

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 そして紫太君の義母で、一族の長老・余太君には、キン・フー監督の傑作『大酔侠』(66)で女剣士“金燕子”を演じ、女性アクション・アクターの先駆けとなったチェン・ペイペイ

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2002年の東京国際映画祭で『大酔侠』が本邦初上映された際に、ゲストとして登壇されたペイペイ女史は若々しく可愛らしいおば様でしたが、本作では老けメイクで長老役を演じ、朝廷の逆賊にも礼を尽くしつつ一歩もひかない威厳と貫禄が印象深い。

チェン・ペイペイ大酔侠02.jpg

 さらに女性たちの一人・蘭秀を演じているのはアジアを中心に活躍するシンシア・ラスターこと我らが“ファラキャット”大島由加里だ!

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 総勢14名になる見目麗しく、勇ましい楊家の女性達は、劇中最初に登場した時に、それぞれ名前と得意技が字幕で表示される親切設計。
と言っても、14名もいると正直一度観ただけでは中々憶えきれないし、それぞれの得意技を実際に漏らさず全て印象的に描けているわけではないが、それでも煌びやかな戦装束で戦う女性軍団を眺めるのは実に楽しいものである。

 因みにあまり気はすすまないが(笑)男優についても付け加えておくと、楊家の将軍・宗保には、『星願 ?』でもセシリア・チャンの運命のお相手を演じ、最近ではジョニー・トー作品の常連俳優としても知られるリッキー・レンが演じている。

 余談になるが、本作で若手俳優のシャオ・ミンユーが演じる文広は、ショー・ブラザース版『14アマゾネス 王女の剣』でも設定は勿論少年なのだが、歌謡映画『香港ノクターン』(66)等に出演していた女優リリー・ホーが健気に演じていた。

またラウ・カーリョン監督作品で、『捜査官X』のベティ・ウェイ(クララ・ウェイ)も出演している『少林寺秘棍房』(83)は、本作より遡った時期の楊家の物語で、本作での長老・余太君が未亡人となった戦いが背景となっている。
これらの作品はDVDで観ることができるので、本作とあわせて観るのも一興だろう。

さて本作に話を戻すと、製作費5千万元(6.3億円)の大作として、鳴り物入りで公開されるも、中国と香港それぞれのラジー賞で作品・監督・女優他4部門にノミネートされる快挙?!となった。
それを受けてか日本では、邦題を含め“底抜け超大作”“トンデモ映画”を売りにしている。
プリミティヴだが無茶ぶりな各種兵器や戦術、雑駁なのに怒涛の展開など、まぁ、確かにそう売るのも間違いではないかなとは思いつつも、それらってそもそも垢抜けなかった頃の一般的な中華娯楽映画の醍醐味そのものではないか。

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そう『14アマゾネス?』には流石に妙な兵器群は出てこないけど、本作の予告編にある“人間ブリッジ”はもっと無茶な形で描かれていたしな。
そういう意味では、70年代初頭のショー・ブラザース作品の音楽担当で映画界入りし、俳優、プロデューサー、スタント、そして監督と、マルチな分野で長年にわたり香港映画に関わってきたフランキー・チャン監督による、どこか懐かしい純正娯楽作品なのだ。

細かいところは気にせずに、大らかに楽しむのが吉だし、実際楽しいぞ。

オフィシャルサイト:http://dragon-miboujin.com/


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Comment [1]

No.1

いいっすねぇ?女戦士フェチとしては特盛ツユだくみたいな映画じゃないですか。こういう映画を楽しめない世の中は不幸ですよ。

 DVD出たら、観ます!

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